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「…何?何が起こったの…!?」
ある日、目を覚ました真奈は、広間に向かった。しかし、広間の惨状を目にして、愕然とした。広間いっぱいに積み上げられた、男たちの死体。それを伝って流れる、生温かい血。そして、その上に立っている、1人の少年…。
「…むっくん…?」
呼ばれたことに気が付いた骸は、真奈の方に振り向いた。
「クフフ…どうかしましたか?」
その笑みは、冷たかった。まるで、人間の感情を失ってしまったかのように。
「むっくん…もしかして…」
「そうです。僕がやったんです」
彼が手にしていたのは、三叉の槍。確かに、彼の持つそれの先端からは、血が流れている。
「どうして!?」
真奈は、自分が泣きそうになっているのに気づいた。
「以前、あなたには話しましたよね?僕の夢のことを。僕は、世界征服をしたい。これは、その手始めです。人間なんて、ただの屑ですから」
骸の目は、右だけ赤く怪しく光っている。そして、その目には漢字の「六」の文字。真奈は、どんな人体実験よりも怖く感じていた。
「人間が屑だなんて…。それはむっくんの勘違いだよ!!確かに、ここにいる人間たちは酷い人ばかりだった…。でも、私は、むっくんに出会ったことで、変われたんだよ!?」
真奈は、涙声で必死に訴えた。
「私は、むっくんに出会うまで、人間なんて信じられないって思ってた!けれど、それは違っていた!むっくんが私に優しく接してくれたおかげで、私、いつまでもむっくんと一緒にいたいって、そう思ったの!!私…」
骸に届いて欲しい、その思いだけを支えにして、真奈は叫んだ。
「私…むっくんのことが、大好きなのっ!!!」
数秒の沈黙。それを打ち破ったのは、
「クフフ…クハハハハ!!」
骸の高らかな笑い声だった。
「真奈、『愛』なんて、人間の偽りの感情に過ぎないんです。そんなもの、必要ない。本当に必要なのは…」
その時、骸の姿が消えた。その直後だった。
「ぐっ!?」
真奈の腹部に、三叉の槍が突き刺さった。
「力、なんです」
いつの間にか、真奈の背後に現れた骸の右目には、「四」の文字が浮かんでいる。真奈は、その場に崩れ落ちた。
「真奈、あなたに、2つの選択肢をあげましょう。1つは、僕から逃げること。もう1つは、僕に殺されること」
真奈の意識が朦朧とする中で、骸が彼女の耳元で甘くささやいた。
「僕は、あなたを殺したくありません。しかし、僕に逆らおうと言うのなら、僕は容赦しません。さぁ、どうしますか?」
真奈は立ち上がって、力を振り絞ってアジトを飛び出した。二度と、骸の方を振り返る事も無く、泣きながら、倒れるまで走り続けた。
ある日、目を覚ました真奈は、広間に向かった。しかし、広間の惨状を目にして、愕然とした。広間いっぱいに積み上げられた、男たちの死体。それを伝って流れる、生温かい血。そして、その上に立っている、1人の少年…。
「…むっくん…?」
呼ばれたことに気が付いた骸は、真奈の方に振り向いた。
「クフフ…どうかしましたか?」
その笑みは、冷たかった。まるで、人間の感情を失ってしまったかのように。
「むっくん…もしかして…」
「そうです。僕がやったんです」
彼が手にしていたのは、三叉の槍。確かに、彼の持つそれの先端からは、血が流れている。
「どうして!?」
真奈は、自分が泣きそうになっているのに気づいた。
「以前、あなたには話しましたよね?僕の夢のことを。僕は、世界征服をしたい。これは、その手始めです。人間なんて、ただの屑ですから」
骸の目は、右だけ赤く怪しく光っている。そして、その目には漢字の「六」の文字。真奈は、どんな人体実験よりも怖く感じていた。
「人間が屑だなんて…。それはむっくんの勘違いだよ!!確かに、ここにいる人間たちは酷い人ばかりだった…。でも、私は、むっくんに出会ったことで、変われたんだよ!?」
真奈は、涙声で必死に訴えた。
「私は、むっくんに出会うまで、人間なんて信じられないって思ってた!けれど、それは違っていた!むっくんが私に優しく接してくれたおかげで、私、いつまでもむっくんと一緒にいたいって、そう思ったの!!私…」
骸に届いて欲しい、その思いだけを支えにして、真奈は叫んだ。
「私…むっくんのことが、大好きなのっ!!!」
数秒の沈黙。それを打ち破ったのは、
「クフフ…クハハハハ!!」
骸の高らかな笑い声だった。
「真奈、『愛』なんて、人間の偽りの感情に過ぎないんです。そんなもの、必要ない。本当に必要なのは…」
その時、骸の姿が消えた。その直後だった。
「ぐっ!?」
真奈の腹部に、三叉の槍が突き刺さった。
「力、なんです」
いつの間にか、真奈の背後に現れた骸の右目には、「四」の文字が浮かんでいる。真奈は、その場に崩れ落ちた。
「真奈、あなたに、2つの選択肢をあげましょう。1つは、僕から逃げること。もう1つは、僕に殺されること」
真奈の意識が朦朧とする中で、骸が彼女の耳元で甘くささやいた。
「僕は、あなたを殺したくありません。しかし、僕に逆らおうと言うのなら、僕は容赦しません。さぁ、どうしますか?」
真奈は立ち上がって、力を振り絞ってアジトを飛び出した。二度と、骸の方を振り返る事も無く、泣きながら、倒れるまで走り続けた。
更新日:2009-03-08 21:23:47