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第4話 姉と弟の大逆襲!


 ヤマタイの国のモビルスーツエンジニア、
 ギナザ・イ・カミキは、王妃コヒミの居城に現れた「ガンダム」
 と思われるモビルスーツのコックピットにあらかじめ
 掛けられた、そのロック(※プロテクト)を解除すべく、
 外部制御ユニットから解除用プログラムを転送、そこにスラと
 ウォノサスの名前を「キーワード」としてセットした。
 …だが、機体に接続された制御端末の画面が、突然
 ブラックアウトした。

  「…どういうことだ!?」

 整備の兵士…ギナザの部下が、再度機器をチェックする。
 …と、しばらくの後…。

  フウゥンン…ンンッ…

 どこからか、機体のメイン・ジェネレータの低い唸りが
 聞こえてきた。
 そして…。

  フオォンンッ…

 頭部にある2つの目が、淡い緑色に輝く。
 やがて、閉じられたコックピットハッチがゆっくりと開き
 始めた。
 果たしてそこには…誰も乗ってはいない…。
 その代わりに、制御端末に様々な情報が流れ込んできた。

  「おお…」

 …そこに機体の詳細情報が流れ、同時にミナザの映像が再度
 スクリーンに映し出される。

  『この映像をみられたということは…ギナザ、あなたかスラ
  とウォノサスが、そこにいるのね…?』

 保存されたこの機体の情報と、ミナザの映像による、この
 メッセージ。
 …やがてミナザ自身のことや、このガンダムについてのその
 事実が明らかとなっていった…!

 …この機体は、ギナザの言う通り、かつてあの
 「カミキバーニングガンダム」が発掘されてからまもなく、
 彼の妻であるミナザが、それを参考に設計したものと判明
 した。
 …ちなみにこの機体の名前は、「スターバーニングガンダム」と
 いった。

 …ところでギナザは、先にカミキバーニングガンダムを参考に
 「ビルドバーニングガンダム」という機体を作っているが、
 その特徴として、「武器を持たない」…つまり、徒手攻撃を
 主とする、いわゆる格闘戦を前提としたものであった。
 しかし、このスターバーニングガンダムは、格闘戦に対応
 しつつも、武器の運用をも考慮されており、言い方を
 変えれば、その汎用性に重きをおいた機体であった。
 つまり、モビルスーツとしてあらゆる戦闘に対応できるよう
 考慮されているのだ。
 また、この機体には専用のビームライフルや銃器など武器の
 追加装備を可能とした接続ジョイント付きのシールドも用意
 されており、その時に応じて装備を変えられるようにも
 なっている。

  「すごいわ…」
  「うん…カミキバーニングガンダムを、より強化した機体
  だね…」

 ウォノサスはさっきの戦いのことを思い出した。
 これなら…あのミシマの軍勢との戦いにも十分対応できる…
 そう思った。

  「でも…」

 スラは何かに気づいたように、ふと父親のギナザをみやった。

  「母さんはいま…ミシマの国にいるってこと?…だったら、
  なぜこの機体を…?」
  「そうだね…。それに、何かタイミングが良すぎるような
  気もする…」

 ウォノサスのその言葉に、スラも頷く。
 だが…。
 その理由は、後の映像ファイルから明らかとなった。
 ミナザは先の戦争で、ギナザと生き別れになり、ある事情で
 ミシマの国の人間に助けられたという。
 そして以後…そのモビルスーツエンジニアとしての腕を買われ
 王家に仕える様になり、同国で暮らすようになったらしい…。
 …残念ながら、映像はそこで途絶えていた。

  「コヒミ王妃のあの赤いモビルスーツ…ひょっとすると…
  あれもミナザが設計したものなのかもしれないな…」

 全身が細身で、その作りが繊細な機体だった、名もなきあの
 「赤いモビルスーツ」。
 そして…それは、どこか女性らしさをも感じさせる。
 それが、母の設計したその特徴なのかもしれない…ギナザは
 そう思った。

 さて…。
 それにしても、どうしてミナザは、この機体に乗って
 いなかったのであろうか?
 仮に彼女がこの機体に乗ってきたとすれば…それこそギナザや
 スラたちは、母と再開することもできたはずだ。

  「…父さん。母さんに何かあったんじゃ…?」

 スラが不安げにいう。
 しかし、その詳細はまだ不明である。
 だが…このモビルスーツが送られてきたことで、母が現地で
 いまも健在であり、ミシマの国で暮らしているということ
 だけは、まぎれもない事実の様であった…。

更新日:2017-12-16 11:21:28

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機動古代戦士 KB(カミキバーニング)ガンダム 第二部