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「どこだ、ここ」


 ブラックアウトから意識が還ると、そこは見渡す限りの草原だった。

 腰に届きそうなほどの稲のような葉が青々と辺り一面に敷き詰められている。






 …………。



 …………………。



 …………………………………。




「……いや、なんもねーぞくそじじい」


 見渡す限り草原で、それ以外のものは何もなかった。

 ほんとに草しかなかった。


「おいおい異世界モノって言ったら普通中世ヨーロッパじゃん?街並みと科文明とかさ。判を押したように決まってるものじゃん。それがどーよ」


 たっぷり時間をかけて360度辺りを見回してみる。


「思ってたのと違う!!!!」


 ふざけんなよくそじじ。何にもねえじゃねえか。お前なんかやっぱりくそじじいで十分だ。


 腹の虫は収まらないが、いつまでも馬鹿みたいに突っ立っているわけにはいかないので、とりあえず散策してみることに。

 歩き始めて気づいたが、あのくそじじい、俺が望むものをかなえるとか抜かしていた。もしかしたら、街まで少し距離があるだけで、ちゃんとしたところなのかもしれない。

 それに俺は確認したはずだ、その世界には魔法とかあるかも。

 そうだそうだ、もし魔法があるなら呪文を唱えればいいんじゃねーか!

 俺はさっそく右手を差し出し力を込めて呪文を唱えてみた。

「ファイア!!」

 何も起きない。呪文が違うのかもしれない。

「フリーズ!!」

 何も起きない。呪文が違うのかもしれない。

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」

 何も起きない。呪文が違うのかもしれない。

「ルーモス」

 何も起きない。呪文が違うのかもしれない。

「メラ」

 何も起きない。呪文が違うのかもしれない。











 そのあともいくつも試したが、何も起きなかった。













 歩いていくうちに何もないまま、日が暮れた。


 不思議と今のところ空腹感はない。むしろ疲労感がひどく、とても眠い。

 草原の中には何本か、ぽつぽつと木が立っているので、その木の下で寝ることにした。


 日の起こし方などろくに知らない上に、瞼が非常に重いのでそのまま横になる。

 眼を閉じるとすぐに気持ちの良い微睡がやってきた。



 同時に、ブラックアウト直前じじいのことを思い出す。

「ちょろ」

 間違いなく彼はそう言っていた。







「くそじじいが!!!!!!!」

 興奮しすぎてしばらく寝付けなくなった。


 
 何はともあれ、冒険の始まりである。

更新日:2017-11-28 05:07:05

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異世界に行かせてもらえるというからやる気だしたのに