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バッタを知っているか?
「ア・デ・ルー!!!」
野菜の面倒を見るクエストが終わると、報告のためと文句のために、ギルドへと向かった。
扉を乱暴に開けながら、おそらくカウンターで飲んだくれているであろうマスターの名を叫ぶ。
「「「あ?」」」
今まで誰もいなかったこともあり、今回も誰もいないだろうと思っていたが、ギルド内には屈強なお兄さん方がいた。
ギルドマスターの名を叫びながら入ってきた俺は、彼らの注目の的となる。そして縮み上がる。
「あ、すみませんでした。あのー、アデルさんはいますかね?」
中にいた屈強なお兄さんの一人が、顔を近づけてくる。
しばらくじろじろと俺の体をみて、お兄さんはにやりと笑う。
「お前さんが新しくメンバーになったっていうルーキーか。元気がいいのは結構だが、少しは自重しろよ」
「はい」
「まあまあ、そんなビビんなよ。おれたちはこの街の自警団のモンだ。ギルドマスターならおくで俺らの頭と話してるところだ。もうすぐ終わるんじゃねえかな」
「そ、そっすか。ルーキーのタナカです。よろしくです」
「俺はエセルバードだ。エバと呼んでくれればいい。一応自警団の副リーダーだ」
軽く自己紹介をし、ビビりながらお兄さんたちとしゃべっていると
奥からアデルが出てきた。
身長2m近くある大男とアデルが並んでおり、彼が自警団のリーダーなのだろう。
「おーい、ミッキー!話はまとまったのか?」
流れで隣に座っていたエバが大声で人を呼ぶ。顔や振り上げたての方向から、おそらくアデルと一緒にいる大男を呼んだのだろうが、えらいかわいい名前だな。
「おう。とりあえずはな」
体つきに似合わない朗らかな笑みを浮かべながらこっちへくる。
「なあエバさん、いったい何の話をしてたのかって聞いても大丈夫かな?」
囁く俺の方を向き、はっと鼻で笑う。
「さんなんかいらねえよ。別に隠してるわけじゃねえから構わねえよ。ギルドで担当する仕事と、自警団で受け持つ仕事の仕分けだよ」
「……全部ギルドじゃダメなのか?」
「メンバーが足りねえんだよ。基本お前らは数人単位だが、中にはもっと人手が必要な仕事がある。そういうもんは俺たち自警団の担当だ。もちろんある程度金次第だがな」
なるほどなあ。確かにギルドのクエストには、大きなものはなかった。
すべての仕事をいったん受け持った後、ギルドの手に負えないものは自警団にそのまま横流しする感じか。
「えらく親しげだが、こいつはなんだエバ?」
すぐそこにまで来ていたミッキーが、エバの隣に座りながら俺を指さす。
「例のよそ者だよ。最近ギルドメンバーになったっていうな」
「ああ、お前がそうなのか。俺は自警団リーダー、ミッキーだ。よろしくな!」
でかい声で名乗りながら、机とエバ越しに右手を差し出してくる。手を握るとぶんぶん振り回された。
「んで、仕分けだが、当面俺らはバッタ退治だな。近くの草原で大量発生して、森に被害が出てるらしい」
「オーケー。じゃあ団員連れて準備してくるぜ!」
腕が鳴るな!と大声で言いながら、ほかのお兄さんたちを連れてエバがギルドを出ていく。
アデルはさっきまた奥へ行ったので、ミッキーと二人きりになってしまった。
ミッキーは頭の後ろに腕を組んだまま、俺の方を見ている。おれは怖くて見れない。
なんで!?なんでこっちみてんの!?
「で?お前さんはどうするんだ?」
突然問われ、答えに窮する。
「お前さんはクエストを受けに来たんじゃねえのか?いまならおいしいクエストもあるだろうが、早くしねえと取られるぞ?」
「ああ、とりあえずおれはアデルにクエスト達成を報告しに来てたんだよ。だからそんなに今は働きたくないかな」
「なっさけねえなおい。まあわからないでもねえ」
喉の奥でクックと笑いながら、ミッキーは身を乗り出してくる。
「じゃあ、俺たちと来ねえか?」
「断らせていただきます」
「即答かよ」
「いやだって何すんのかも知らないし、さすがに断るだろ」
「ああ?だからバッタ退治だって言ってんだろ?」
「悪い、それがわかんねえんだわ。バッタってあのバッタだろ?虫ごときにあんたたち自警団が必要なのか?」
おれが問うと、ミッキーはきょとんとする。
まあこの世界での常識は俺は持っていないから、きっと俺の疑問はあほらしいものなんだろう。
「お前さんもしかしてバッタの脅威を知らねえのか?」
「悪い教えてくれ」
一通りバッタについて教えてもらった。
「つまりバッタが大量発生すると、高密度を解消するために移動するための群生相という形態と違うやつが発生して、通り道の草木に多大な被害が出るから排除しなきゃいけないってことか」
「そういうことだ。ちなみに群生相は二足歩行で移動する」
「飛ばねえのかよ!!」
野菜の面倒を見るクエストが終わると、報告のためと文句のために、ギルドへと向かった。
扉を乱暴に開けながら、おそらくカウンターで飲んだくれているであろうマスターの名を叫ぶ。
「「「あ?」」」
今まで誰もいなかったこともあり、今回も誰もいないだろうと思っていたが、ギルド内には屈強なお兄さん方がいた。
ギルドマスターの名を叫びながら入ってきた俺は、彼らの注目の的となる。そして縮み上がる。
「あ、すみませんでした。あのー、アデルさんはいますかね?」
中にいた屈強なお兄さんの一人が、顔を近づけてくる。
しばらくじろじろと俺の体をみて、お兄さんはにやりと笑う。
「お前さんが新しくメンバーになったっていうルーキーか。元気がいいのは結構だが、少しは自重しろよ」
「はい」
「まあまあ、そんなビビんなよ。おれたちはこの街の自警団のモンだ。ギルドマスターならおくで俺らの頭と話してるところだ。もうすぐ終わるんじゃねえかな」
「そ、そっすか。ルーキーのタナカです。よろしくです」
「俺はエセルバードだ。エバと呼んでくれればいい。一応自警団の副リーダーだ」
軽く自己紹介をし、ビビりながらお兄さんたちとしゃべっていると
奥からアデルが出てきた。
身長2m近くある大男とアデルが並んでおり、彼が自警団のリーダーなのだろう。
「おーい、ミッキー!話はまとまったのか?」
流れで隣に座っていたエバが大声で人を呼ぶ。顔や振り上げたての方向から、おそらくアデルと一緒にいる大男を呼んだのだろうが、えらいかわいい名前だな。
「おう。とりあえずはな」
体つきに似合わない朗らかな笑みを浮かべながらこっちへくる。
「なあエバさん、いったい何の話をしてたのかって聞いても大丈夫かな?」
囁く俺の方を向き、はっと鼻で笑う。
「さんなんかいらねえよ。別に隠してるわけじゃねえから構わねえよ。ギルドで担当する仕事と、自警団で受け持つ仕事の仕分けだよ」
「……全部ギルドじゃダメなのか?」
「メンバーが足りねえんだよ。基本お前らは数人単位だが、中にはもっと人手が必要な仕事がある。そういうもんは俺たち自警団の担当だ。もちろんある程度金次第だがな」
なるほどなあ。確かにギルドのクエストには、大きなものはなかった。
すべての仕事をいったん受け持った後、ギルドの手に負えないものは自警団にそのまま横流しする感じか。
「えらく親しげだが、こいつはなんだエバ?」
すぐそこにまで来ていたミッキーが、エバの隣に座りながら俺を指さす。
「例のよそ者だよ。最近ギルドメンバーになったっていうな」
「ああ、お前がそうなのか。俺は自警団リーダー、ミッキーだ。よろしくな!」
でかい声で名乗りながら、机とエバ越しに右手を差し出してくる。手を握るとぶんぶん振り回された。
「んで、仕分けだが、当面俺らはバッタ退治だな。近くの草原で大量発生して、森に被害が出てるらしい」
「オーケー。じゃあ団員連れて準備してくるぜ!」
腕が鳴るな!と大声で言いながら、ほかのお兄さんたちを連れてエバがギルドを出ていく。
アデルはさっきまた奥へ行ったので、ミッキーと二人きりになってしまった。
ミッキーは頭の後ろに腕を組んだまま、俺の方を見ている。おれは怖くて見れない。
なんで!?なんでこっちみてんの!?
「で?お前さんはどうするんだ?」
突然問われ、答えに窮する。
「お前さんはクエストを受けに来たんじゃねえのか?いまならおいしいクエストもあるだろうが、早くしねえと取られるぞ?」
「ああ、とりあえずおれはアデルにクエスト達成を報告しに来てたんだよ。だからそんなに今は働きたくないかな」
「なっさけねえなおい。まあわからないでもねえ」
喉の奥でクックと笑いながら、ミッキーは身を乗り出してくる。
「じゃあ、俺たちと来ねえか?」
「断らせていただきます」
「即答かよ」
「いやだって何すんのかも知らないし、さすがに断るだろ」
「ああ?だからバッタ退治だって言ってんだろ?」
「悪い、それがわかんねえんだわ。バッタってあのバッタだろ?虫ごときにあんたたち自警団が必要なのか?」
おれが問うと、ミッキーはきょとんとする。
まあこの世界での常識は俺は持っていないから、きっと俺の疑問はあほらしいものなんだろう。
「お前さんもしかしてバッタの脅威を知らねえのか?」
「悪い教えてくれ」
一通りバッタについて教えてもらった。
「つまりバッタが大量発生すると、高密度を解消するために移動するための群生相という形態と違うやつが発生して、通り道の草木に多大な被害が出るから排除しなきゃいけないってことか」
「そういうことだ。ちなみに群生相は二足歩行で移動する」
「飛ばねえのかよ!!」
更新日:2018-03-07 00:23:16