• 15 / 128 ページ
“呪われし予言なんて、昨夜見た夢でサーシャが言っていた言葉そのものじゃないか!”

男の言葉に昨夜の夢の事を思い出し、ジーフェスは驚きを隠せない。

「先代の大巫女様はサーシャ王女のことをこう予言されたのさ。『この娘は忌むべき娘。近付く者全てを、国を滅びへと導く死神の娘』とな」

「!?」

「おい!その事は箝口令が敷かれているんだぞ!口外したことが解ればお前厳しい処罰を受けるぞ!」

傍らの男は怯えたようにもうひとりの男を止めようとするが、それを無視して更に話をしていく。

「忌まわしき予言を受けたサーシャ王女は、だが王族の血を受け継いだ者故に処刑は出来ず、王宮の一番外れにある離宮に、存在を隠され幽閉同様に育てられたのさ」

「そんな…予言なんて、そんな事の為に…」

“ただ、そんな予言をされただけでサーシャは離宮に追いやられ、寂しい思いをしたというのか!”

ジーフェスは男の言葉に先代の大巫女、サーシャの母親にあたる人物に微かな怒りを覚えた。

「そんな事だと…貴様何を言うか!」

男はジーフェスの言葉にぎっと睨み付け、怒りを露に叫びだした。

「我らが大巫女様の『神託』は絶対のもの!決して違(たが)うことの無い不動のもの!
歴代の大巫女様の『神託』のおかげで我が国は大いなる恵みを受け、大国としての地位を確保してきたのだぞ!それをそんな事だと軽んじるなど…貴様の発言は万死に値する!」

「何だと!」

男とジーフェスが互いに腰につけていた剣の鞘に手をかけ、一触即発の状態になったその時、

「お前達何をしている!」

その声にジーフェスが振り向くと、、廊下の奥からひとりの人物…男達と同じ軍服を纏った壮年の男性、が現れ、三人のもとに近寄った。

「た、隊長…その…」

「別に…隊長のお気にする事ではありません」

二人を傍観していた男は己の上司の出現におろおろするだけに対し、若い男は剣にかけていた手を離し、無精無精そう告げるとジーフェスから視線を反らした。

「貴殿は…その御姿から、もしやサーシャ王女の夫であられるジーフェス様ですかな?もしやわたしの部下が何か失礼でも…?」

穏やかな表情の中にも、その眼光は軍人の鋭さを持つ、隊長と呼ばれた男性はジーフェスに対して問いかけてきた。

「え…ああ、その…」

視線を向けられ、ジーフェスは慌てて腰の剣から手を離し、ばつの悪そうな表情を浮かべた。

「ところで貴方は?」

「これは失礼、わたくしはアクリウム国守護団隊長、ソレルと申します。こちらはわたしの部下の…」

そう言い部下のほうを振り向くと、そこには既に二人の姿は無く、廊下の先のほうに歩く人影があるのみだった。

「おい!お前達!」

ソレルの声に二人は振り返るものの、若い男は憮然とした表情でもうひとりの怯えたままの男を連れて立ち去っていったのだった。

「全く…あやつらめ!」

二人が去った辺りを見ながらソレルが怒りに呟く。そして再びジーフェスのほうへと振り返ると深々と頭を下げた。

「部下が大変失礼致しました。この責は隊長であるわたくしめが…」

「いえ、それは必要ありませぬ。お…わたしのほうもその…」

己も感情的になって危うく流血沙汰にしそうになったのもあり、ジーフェスは苦笑いして言葉を濁した。

「本当に申し訳ありませぬ。あれはこの国の高位貴族、代々王家に御仕えしてきた一族の末裔でして…その…」

「……」

更新日:2018-03-15 11:04:44

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook