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CHAPTER1-04
東京北千住の外れのボロい雑居ビルにそれはある。
外側の広い大通りから見上げれば、白いガムテープで『春川探偵事務所』と内側から張り付けており、ひび割れたガラス窓の補強も兼ねているのが丸わかりだ。
そんなショボい事務所にも一応従業員らしきものはいて、いまそのものは名倉から渡された資料コピーの束に目を通していた。
「つまりこれって、そのバダラギ村まで調べにいけってこと?」
辰巳真帆(たつみ・まほ)。春川のいとこで21歳のギャル風女子だ。
秋も深まってきているというのに、真っ黒に日焼けした肌をさらし、尻の肉がはみだしそうなデニムのホットパンツをはいている。
上は白のTシャツ一枚。どうやらその格好でモルジブへゆき、昨日日本へ帰ってきたらしい。
「そゆこと」
春川は短くこたえると、大判封筒のなかから名倉の手紙をつまみだし、読みあげた。
「写真を送ってくれた友人、村井守との連絡もとれない。実家に電話したら数日前から行方不明とのこと。
合わせて、村井守の消息も探ってほしい……だってさ」
名倉の友人、村井守は気仙沼市在住で一関から東へ約50キロ、JR大船渡線を使えば約一時間半で到着する。
大判封筒には少々ピンボケ気味の『村井守』の写真も同封されていて、袖をまくりあげ、太い腕を組んだその姿は一見して体育会系の快活な人物であることがわかる。
「ん?!…………」
みるともなしに眺めていると、春川の脳裏の隅になにかひっかかるものがあった。この男、どこかで……?
「まさか……」
思わずつぶやきを漏らす。
昨夜のBARにいた男だ。
青白い顔をして、小さく咳き込んでいた男。
その男に写真のなかの人物は酷似していた。
協力:映画『液体未亡人ゴケドロリ』製作準備委員会
東京北千住の外れのボロい雑居ビルにそれはある。
外側の広い大通りから見上げれば、白いガムテープで『春川探偵事務所』と内側から張り付けており、ひび割れたガラス窓の補強も兼ねているのが丸わかりだ。
そんなショボい事務所にも一応従業員らしきものはいて、いまそのものは名倉から渡された資料コピーの束に目を通していた。
「つまりこれって、そのバダラギ村まで調べにいけってこと?」
辰巳真帆(たつみ・まほ)。春川のいとこで21歳のギャル風女子だ。
秋も深まってきているというのに、真っ黒に日焼けした肌をさらし、尻の肉がはみだしそうなデニムのホットパンツをはいている。
上は白のTシャツ一枚。どうやらその格好でモルジブへゆき、昨日日本へ帰ってきたらしい。
「そゆこと」
春川は短くこたえると、大判封筒のなかから名倉の手紙をつまみだし、読みあげた。
「写真を送ってくれた友人、村井守との連絡もとれない。実家に電話したら数日前から行方不明とのこと。
合わせて、村井守の消息も探ってほしい……だってさ」
名倉の友人、村井守は気仙沼市在住で一関から東へ約50キロ、JR大船渡線を使えば約一時間半で到着する。
大判封筒には少々ピンボケ気味の『村井守』の写真も同封されていて、袖をまくりあげ、太い腕を組んだその姿は一見して体育会系の快活な人物であることがわかる。
「ん?!…………」
みるともなしに眺めていると、春川の脳裏の隅になにかひっかかるものがあった。この男、どこかで……?
「まさか……」
思わずつぶやきを漏らす。
昨夜のBARにいた男だ。
青白い顔をして、小さく咳き込んでいた男。
その男に写真のなかの人物は酷似していた。
協力:映画『液体未亡人ゴケドロリ』製作準備委員会
更新日:2017-10-14 16:36:42