- 39 / 40 ページ
エピローグ
…そこは、あたかも船のブリッジのような場所であった。
周りには幾つものパネルがあり、その目まぐるしく流れる
情報に、オペレーターたちがせわしく手元のキーボードを
叩いている。
大型のスクリーンには外の様子が映し出され、時折目の前を
船やモビルスーツが通り過ぎていった。
「…『馬の蹄』より入電!」
専用のデスクにいた年配の女性が、そのオペレーターをちらと
みやった。
彼女をみる限り「女官」であろうが…制服などを着ていないこと
から、どこか場違いな印象を受ける。
また、一見すればどこにでもいる、「ただの主婦」のようにも
みえるが、そんな彼女からはどこか不思議なくらいに貫録と
いうものが伺えた。
…余談だが、その体型は女性にしてはやや太目…である。
「こっちにつないでちょうだい」
その女性はオペレーターに言うと、机上のパネルに目を
注いだ。
(こちら戦艦フーヴ。…まもなく本部に到着します)
そこに映っているのはフーヴの艦長、
アドル・トリスナーダであった。
「…ご苦労様。あの方も随分とお待ちの様よ、アドル?」
(はい。今回はあまりいい報せがないのが残念ではあります
が…「R191」は、無事にお届けすることができそうです)
…ふとその女性の顔が険しくなった様な気がした。
「その分、先に支給した『R202』は、随分と損害の様ね?」
(ハッ、申し訳ありません…。行く先で、偶然にもジオン
との接触もありましたので…)
アドルは終始、まるで軍の上官に報告するように、その
態度を崩さなかった。
そんな彼に対し、その女性は仕方なさそうに首を横に振った。
「限りある資源は大切にしてほしいわね。それは決して、
『底無し』ではないのだから…」
(…なぁーにを言っとんじゃあ、このクソババァめ!)
…突然その映像にフーヴの整備長、ヨサン・ウォルトが
割り込んできた!
(いつも言っとるが、多少の損害はやむを得んじゃろうが?)
その女性は「またか」と言わんばかりに目を伏せ、その映像から
視線を外した。
「…先の報告では『R017』も損傷したと聞きましたけど?
ああ…それは整備長が賠償していただけるということで
よろしいんですのよね?」
…彼女はサラリと言う。
映像の向こうで、ヨサンが何やら動揺する仕草をみせる。
(そ…それは…その)
(…失礼しました。その件については、到着した後で…)
その映像に、そばを執り成すように再びアドルの顔が映った。
「…分かったわ。それではまたあとで…お気をつけて、艦長」
彼女は通信を切った。
「フーヴがまもなく帰還します。…入港への誘導準備を
お願い」
その女性がフーヴからの通信を取り継いだオペレーターに
指示を出した。
…戦艦フーヴは、「PeaceRevive」の本部へ到着しようとして
いた…。
…そこは、あたかも船のブリッジのような場所であった。
周りには幾つものパネルがあり、その目まぐるしく流れる
情報に、オペレーターたちがせわしく手元のキーボードを
叩いている。
大型のスクリーンには外の様子が映し出され、時折目の前を
船やモビルスーツが通り過ぎていった。
「…『馬の蹄』より入電!」
専用のデスクにいた年配の女性が、そのオペレーターをちらと
みやった。
彼女をみる限り「女官」であろうが…制服などを着ていないこと
から、どこか場違いな印象を受ける。
また、一見すればどこにでもいる、「ただの主婦」のようにも
みえるが、そんな彼女からはどこか不思議なくらいに貫録と
いうものが伺えた。
…余談だが、その体型は女性にしてはやや太目…である。
「こっちにつないでちょうだい」
その女性はオペレーターに言うと、机上のパネルに目を
注いだ。
(こちら戦艦フーヴ。…まもなく本部に到着します)
そこに映っているのはフーヴの艦長、
アドル・トリスナーダであった。
「…ご苦労様。あの方も随分とお待ちの様よ、アドル?」
(はい。今回はあまりいい報せがないのが残念ではあります
が…「R191」は、無事にお届けすることができそうです)
…ふとその女性の顔が険しくなった様な気がした。
「その分、先に支給した『R202』は、随分と損害の様ね?」
(ハッ、申し訳ありません…。行く先で、偶然にもジオン
との接触もありましたので…)
アドルは終始、まるで軍の上官に報告するように、その
態度を崩さなかった。
そんな彼に対し、その女性は仕方なさそうに首を横に振った。
「限りある資源は大切にしてほしいわね。それは決して、
『底無し』ではないのだから…」
(…なぁーにを言っとんじゃあ、このクソババァめ!)
…突然その映像にフーヴの整備長、ヨサン・ウォルトが
割り込んできた!
(いつも言っとるが、多少の損害はやむを得んじゃろうが?)
その女性は「またか」と言わんばかりに目を伏せ、その映像から
視線を外した。
「…先の報告では『R017』も損傷したと聞きましたけど?
ああ…それは整備長が賠償していただけるということで
よろしいんですのよね?」
…彼女はサラリと言う。
映像の向こうで、ヨサンが何やら動揺する仕草をみせる。
(そ…それは…その)
(…失礼しました。その件については、到着した後で…)
その映像に、そばを執り成すように再びアドルの顔が映った。
「…分かったわ。それではまたあとで…お気をつけて、艦長」
彼女は通信を切った。
「フーヴがまもなく帰還します。…入港への誘導準備を
お願い」
その女性がフーヴからの通信を取り継いだオペレーターに
指示を出した。
…戦艦フーヴは、「PeaceRevive」の本部へ到着しようとして
いた…。
更新日:2017-11-23 19:38:14