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 …ルクトは一旦、リィナと共にガンキャノンに乗り込んだ。

  「大丈夫?」

 リィナはとりあえず、ルクトをシートに座らせ、その横から
 不安げに彼に問いかけた。

  「なんとかな…」

 ふとルクトはメインパネルに映ったブラウンのガンダムを
 みやった。

  「?…確かあのガンダムは…」
  「整備長が本部に手配した…あの機体よ」
  「なるほどな。…で、操縦の方は大丈夫なのか?」

 リィナはあまり時間はなかったものの、フィーグに重力圏下
 での基本的な操縦を教えたことを説明した。

  「…そうか。まぁ、これなら敵が現れてもなんとかなりそう
  だな…」
  (心配ないよ…いえ、ありませんよ、少尉!)

 フィーグから通信が入ってきた。

  「フィーグ。…お前、いい機体のってるじゃねぇか…?」
  (俺はガンダム専門ですから)

 ついフィーグの口からそれが突いて出た。
 こいつ…ホント何か妬けるな…!
 ルクトは顔を顰めながら、リィナとフィーグにさっきまでの
 経緯を説明した。

  「…『ギャン』?」

 それは…かつてこのコロニーに現れ、かのモビルスーツと死闘を
 演じたジオンのモビルスーツの名前であった。
 リィナは以前、記録映像でみたことがあるが…フィーグに
 とっては、初めて聞く名前の機体であった。

  「…ああ。奴ら、それをどこかに移送するのをみた。多分、
  その先に何かあるはずだ」

 状況を確認したリィナは、一旦フーヴに通信を入れることに
 した。

  (ルクトか?…無事だったんだな?)
  「ご心配おかけしました、艦長。いま、リィナたちに説明
  していたんですが…ここから先に『ギャロップ』が一艇、
  そして…モビルスーツ・ギャンをどこかへ運び出すのを
  目撃しました」
  (…!?そんなモビルスーツがどうして…)

 フーヴの艦長、アドル・トリスナーダも驚きを隠せない。

  「どうやらこのコロニーには、やはり何かある様です。
  このまま、オレたち三人で調査を続けようと思うのです
  が…」

 しばらくの後、アドルの声が返ってきた。

  (…分かった。くれぐれも気をつけてな。それから戦闘に
  なったらすぐに撤退、コロニーから離脱して帰還しろ。いま
  こちらでも敵が動き出したようだ。いいな?)
  「…分かりました」

 ルクトらは、任務を続けることになった。


更新日:2017-11-23 09:21:44

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機動戦士ガンダムR191 第二編/「黄昏のコロニー」