- 28 / 40 ページ
最終話 黄昏のコロニー
…コックピットのメインパネルには、相手の撃墜を報せる
アラートが表示されていた。
フィーグ・ロワイトは、ただ茫然としたまま、それをみつめて
いた。
「RX-78-01(N)」…別名「MSD R017」・「局地型ガンダム」が、肩部に
装備されたショルダーキャノンで、遠方の「MS-06」・「ザク」を
見事に撃ち抜いたのだ。
(いまのは…俺が…?)
さっきそれを撃ったのは確かに自分のはず…だったが、彼は
なぜかそれが信じられなかった。
(フィーグ!)
…そこへリィナ・シュラモンの声が飛び込んでくると同時に、
彼女の顔がメインパネルの隅に表示される。
そして、こちらにゆっくりと近づいてくる
「RX-77-R190」・「ガンキャノン」の姿があった。
(いまのは…)
「あ?…ああ、大丈夫か、リィナ?」
どこかフィーグの様子がおかしい。
まるで、さっきザクを撃墜したことなど、まったく知らない
かのように…である。
「それより敵は?」
(もういないわ。それよりあなた…さっきの…)
…ガンダムからリィナと対峙していたザクとのあいだには
距離があった。
それを…フィーグは正確に撃ち抜いたのである。
しかも、そこまで内部の照準システムがアシストするとは
思えないのだが…。
「すまない。…っていうか、きっと偶然だったんだ」
(フィーグ…?)
密かな疑問を抱くリィナであったが…彼女はそれ以上、
聞こうとはしなかった…。
だが…。
フィーグのことを、俗にいう「ニュータイプ」なのでは
ないか…?と、リィナはそう感じずにはいられなかった…。
◆
…そこは夕暮れだった。
しや…先の通り、ここでは時間というものが正確に制御されて
いない理由から、その時間というものが変わることはない。
(これがテキサスコロニー…)
フィーグはふと、夕暮れ時のそれに、何か黄昏のようなものを
感じずにはいられなかった。
…と、そこに彼の目に留まるものがあった。
…それは牛だった。
どうやら放牧されたものと思われる。
(こんなところで…生きていられるなんて…)
…そこにリィナからの通信が入ってくる。
彼は慌てて彼女の機体の後に続いた。
リィナとフィーグは、先の戦いでルクト・アディーナらが交戦
した地点までたどり着いていた。
…ふとレーダーが何かの反応を捉えた。
ごく微弱だが、それは生命反応の様であった。
「…ルクト!?そこにいるの!?」
リィナが慌てて通信回線を開き呼び掛ける。
…だが、その返事は返ってはこなかった。
リィナとフィーグは機体を降着状態すると、すぐに外へと
出た。
再びルクトの「RGM-79(G)-R202」・「陸戦型ジム」にとりついた
リィナは、外部からコックピットハッチを開いた。
「ルクト!?」
コックピットの中には、首を垂れたままのパイロットが
いた。
それは紛れもなくルクトであった。
…気を失っているのであろうか?
「ルクト!ちょっと、しっかりして!」
リィナはルクトの両肩を揺さぶった。
すると…。
「う…うぅん…あぁ?…リィナ…?」
…どうやら内部で過ごしてしているうちに、疲れて
しまったのか、そのまま眠りこけてしまったらしい。
「よかった…無事で…」
彼女は安堵すると、大きくため息をついた。
…コックピットのメインパネルには、相手の撃墜を報せる
アラートが表示されていた。
フィーグ・ロワイトは、ただ茫然としたまま、それをみつめて
いた。
「RX-78-01(N)」…別名「MSD R017」・「局地型ガンダム」が、肩部に
装備されたショルダーキャノンで、遠方の「MS-06」・「ザク」を
見事に撃ち抜いたのだ。
(いまのは…俺が…?)
さっきそれを撃ったのは確かに自分のはず…だったが、彼は
なぜかそれが信じられなかった。
(フィーグ!)
…そこへリィナ・シュラモンの声が飛び込んでくると同時に、
彼女の顔がメインパネルの隅に表示される。
そして、こちらにゆっくりと近づいてくる
「RX-77-R190」・「ガンキャノン」の姿があった。
(いまのは…)
「あ?…ああ、大丈夫か、リィナ?」
どこかフィーグの様子がおかしい。
まるで、さっきザクを撃墜したことなど、まったく知らない
かのように…である。
「それより敵は?」
(もういないわ。それよりあなた…さっきの…)
…ガンダムからリィナと対峙していたザクとのあいだには
距離があった。
それを…フィーグは正確に撃ち抜いたのである。
しかも、そこまで内部の照準システムがアシストするとは
思えないのだが…。
「すまない。…っていうか、きっと偶然だったんだ」
(フィーグ…?)
密かな疑問を抱くリィナであったが…彼女はそれ以上、
聞こうとはしなかった…。
だが…。
フィーグのことを、俗にいう「ニュータイプ」なのでは
ないか…?と、リィナはそう感じずにはいられなかった…。
◆
…そこは夕暮れだった。
しや…先の通り、ここでは時間というものが正確に制御されて
いない理由から、その時間というものが変わることはない。
(これがテキサスコロニー…)
フィーグはふと、夕暮れ時のそれに、何か黄昏のようなものを
感じずにはいられなかった。
…と、そこに彼の目に留まるものがあった。
…それは牛だった。
どうやら放牧されたものと思われる。
(こんなところで…生きていられるなんて…)
…そこにリィナからの通信が入ってくる。
彼は慌てて彼女の機体の後に続いた。
リィナとフィーグは、先の戦いでルクト・アディーナらが交戦
した地点までたどり着いていた。
…ふとレーダーが何かの反応を捉えた。
ごく微弱だが、それは生命反応の様であった。
「…ルクト!?そこにいるの!?」
リィナが慌てて通信回線を開き呼び掛ける。
…だが、その返事は返ってはこなかった。
リィナとフィーグは機体を降着状態すると、すぐに外へと
出た。
再びルクトの「RGM-79(G)-R202」・「陸戦型ジム」にとりついた
リィナは、外部からコックピットハッチを開いた。
「ルクト!?」
コックピットの中には、首を垂れたままのパイロットが
いた。
それは紛れもなくルクトであった。
…気を失っているのであろうか?
「ルクト!ちょっと、しっかりして!」
リィナはルクトの両肩を揺さぶった。
すると…。
「う…うぅん…あぁ?…リィナ…?」
…どうやら内部で過ごしてしているうちに、疲れて
しまったのか、そのまま眠りこけてしまったらしい。
「よかった…無事で…」
彼女は安堵すると、大きくため息をついた。
更新日:2017-11-23 09:17:14