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第1話 その思想を守る者たち


 …一年戦争からまもなくの頃である。
 連邦軍肝いりの宇宙残骸処理業者、
 ブルートレーダー社(※以下、「B.T社」と略)は、軍より依頼を
 受け、先の戦争で活躍した最新鋭モビルスーツ・「RX-78-2」、
 「ガンダム」を回収すべく、まだ戦火の燻るジオンの宇宙要塞、
 「ア・バオア・クー」へと赴いた。
 その際、地球育ちで、もと民間人の作業員、
 フィーグ・ロワイトは、まるで導かれるように現場で偶然に
 無傷のガンダムを発見する。
 これからその残骸を回収するはずのそれが、なぜそんな形
 でそこに…?
 そんなその機体…ガンダムの胸部には、「R191」という謎の
 番号が付与されていた。
 …だが、そこに突然現れたジオンのものと思われる
 モビルスーツが彼らを襲い、フィーグはガンダムに乗り込み
 それを撃破、その後、連邦軍の取り調べを受けることと
 なった。
 その後、彼は所属不明の「RGM-79」・「ジム」と、先の戦争で
 配備された機体・すべてが大破したはずの
 「RX-77」・「ガンキャノン」と遭遇し、その二機のパイロット
 たちと共に、彼らの母艦へと誘われた。
 そして…。
 フィーグはそのパイロットたちとの出会いをきっかけに、
 行動を共にするようになったのである…!



 …漆黒の闇の宇宙を二機のモビルスーツが駆けていた。
 どちらも白い装甲を持ち、前方のそれは胸部が赤く塗装されて
 いたが、後方のそれは、胸部が青と赤に塗り分けられていた。
 また、その後方の機体は、頭部にV字型のアンテナを装備し、
 人のような二つの目を持つ、どこか特徴的な機体であった。
 そしてその胸部には…「R191」という機体番号らしきものが付与
 されていた。

  「…フィーグ、聞こえるか?」

 前方のモビルスーツに乗った若い男性パイロットが後方に
 向かって呼び掛けた。

  (…ハイ!聞こえます)

 ヘルメット越しに、同じ若い男性の声が返ってきた。

  「慣性制御がなってないぞ?もっとバーニアをうまく使い
  こなせ」

 そういえば後方の機体がどこかブレているのが分かった。
 頭部にV字型のアンテナを持つモビルスーツの方だ。

  (ちゃんとやってるよ…)

 さっきのまでの丁寧な口調が突然崩れ、どこかボヤいた声
 になった。

  「なんだって?…あのなぁ、オレよりいい機体乗ってん
  だから、ちゃんとやってくれよな!」
  (だからやってる!…いえ、やってます!…って…
  と、おぉっ…!?)

 前方にいる「RGM-79」・「ジム」が、何かに気づいたように
 急制動をかけターンした。
 そして、後に続いていた「RX-78-R191」・「ガンダム」の腕を
 掴んだ!
 急にバーニアを吹かし過ぎたため、先のジムにぶつかりそうに
 なったのだ。

  「…ふう。みろ、いわんこっちゃない…」

 ジムのパイロット、ルクト・アディーナは、ヒヤヒヤしながら
 大きく溜息をついた。
 それがヘルメット越しに聞こえてくる。

  (すまない…いや、すみません、少尉…)

 いつも思うのだが…なんかこうやりにくい。
 それは…モビルスーツの操縦のことではない。
 ルクトとの会話のことだ。

 ガンダムのパイロット、フィーグ・ロワイトは、ルクトとは
 年齢はそう違わない。
 …とはいっても、一応はルクトの方が一つ年上である。
 本来であれば「タメ口」の一つも叩けるはずだが、任務遂行中…
 いまは訓練中だが、そうもいかない。
 それが軍隊というものだ。

  「ま…最初はオレもそうだったからな。とにかく慣れる
  ことだよ」

 ルクトは苦笑しながらヘルメットのバイザーを開け、前方に
 迫る一隻の船をみやった。
 それが…彼らの母艦であった。

更新日:2017-10-12 14:49:39

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機動戦士ガンダムR191 第二編/「黄昏のコロニー」