• 10 / 40 ページ

第2話 Peace Revive


 …フィーグは「フーヴ」の格納庫内で一人、これまでの経緯を
 振り返っていた…。


 …目の前に一隻の船が近づいてくる。
 馬の蹄のような船首を持つ、実に特徴的な形状の大型戦艦
 であった。
 …だがそれは、艦橋や両舷の作り、左右に張り出した羽根、
 そして、後部のエンジン部分をみる限り、先の戦争で戦果を
 上げた、連邦軍の「木馬」と呼ばれるそれに、どことなく酷似
 していた…。

  (あそこが私たちの母艦よ…)

 ヘルメット越しに若い女性の声が聞こえた。
 フィーグ・ロワイトは、何気に操縦桿を戻した。
 慣性に任せて、彼が乗るモビルスーツ、「RX-78-R191」
 「ガンダム」が、その艦に向かってゆっくりと接近していく。

  (識別番号「R191」と確認…そのままカタパルトへ誘導…)

 管制のものと思われる通信が聞こえてきた。
 そのとき、メインパネルに前方に何かが接近していることを
 示すアラートが表示された。

  (船首のゲートが開いたら、まずあなたから入って…)
  「入れって…?」

 フィーグには、モビルスーツによる艦への着艦の経験はない。
 …と、そのときガンダムが不自然な挙動を示した。
 メインパネルに映った情報が、どこか目まぐるしく変化し、
 目的地を示すマーカーが、目の前の艦を捉えた。

  「自動操縦か…?」

 アラートが止み、機体は吸い込まれるようにゲートの開いた
 その艦へと静かに進入していった…。


 格納庫に入ると、ガンダムはそのままその動きを止めた。
 そして、目の前のスクリーンに宇宙服に身を包んだ数人の
 メカニックが現れた。

  (…何もしなくていい。こちらからハッチを開く…)

 外からの通信だった。
 まもなくコックピットハッチが開く。
 …と、そこへレモンイエローのパイロットスーツを着た
 若い女性が流れてきた。
 長い金髪の髪の毛を後ろで束ねた、瞳の大きな女性だった。

  「…こっちよ」

 …この女性は…。
 それも分からぬまま、彼女に促され、フィーグはデッキの
 方へと流れた。

更新日:2017-10-23 14:15:01

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

機動戦士ガンダムR191 第二編/「黄昏のコロニー」