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サトシへ

君との出会いは、今、思い出しても、最悪だった

最初は、だぃいきらいで、どうしようもなくて、一緒に居る事がどうしようもなく苦痛で、こいつと旅だなんて死んでもごめんだと思っていた

情けない奴で、ポッポ相手でも、全く相手も出来ない力が無いやつだ
ポケモンマスター? はっ、お前みたいな奴、なれこないよ、可笑しくて、へそで茶が沸くよ、本当に

でも・・・でもね

そんな弱い奴が、僕を守ろうとしてくれたんだ

あの雨の中、オニスズメ達から、必死に僕を庇う君の背中を、今でも、覚えてる・・・

それまで、いがみ合っていたのに・・・大嫌いだって、そう思ったのに・・・なのに・・・

体が勝手に動いて、ありったけの力を、落ちてきた雷を味方にして、今までにないくらいの電撃を決めていた

オニスズメ達は、逃げていって

地面に横たわる、泥だらけの君と僕

君の夢を叶えるという言葉に、これまた、無意識に頷いていた

君なら・・・弱くたって、全身全霊で、僕を守ろうとした君なら、その夢は、実現出来るって無意識に思えたんだ

そんな君と見た、大きな虹と大きな金色のポケモンに、感動した
あの虹と金色に輝くポケモンに、誓ったんだ・・・君と一緒に、君の夢、ポケモンマスターに絶対になるんだって

そこから、色んな人に、ライバルに、ポケモンに、伝説と幻と言われるポケモン達と出会って

色んな町や地方へ、旅をして

君の肩や頭の上から見る景色は、幾度も、変わって・・・

今は、隣にいる事が、相棒と呼ぶのも、呼ばれる事にも、当たり前になっている

ねぇ? 信じられないでしょう? あんなに大嫌いだったのに、君の夢を馬鹿にしていたのに、それなのに・・・今は、君の隣にいる事が幸せで、大好きで、どうしようもなくて、泣きたくなるんだ

あの時、君から離れようと思った僕は、もうどこにもいないんだ

今は・・・

僕は・・・

君がいる事に、感謝をしている

君と出会えた事が、何よりも嬉しくて、僕に沢山の仲間が出来たのも、君のお陰なんだ


僕はもう、あの頃のような、僕じゃないんだ


「ピカチュウー!」
「ピーカ〜、ピカピ、ピカピカ〜!」

君に、僕の名前を呼ばれる事が好きなんだ
僕の体を優しく撫でてくれる大きな掌も、抱きしめてくれる腕も、全部、全部、僕にとって掛け替えの無い宝物なんだ

サトシ、僕のパートナーになってくれて、ありがとう、大好きだよ!

君と出会えた事が、僕は、嬉しいんだ

どうかこれからも、僕の相棒でいてね?

終わる

更新日:2017-07-17 10:35:10

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