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ベストナイト

 私は眼鏡が裏切るかも知れないという気がして成らない。禿げを清掃し出してから私は眼鏡が私を裏切る可能性が肥大化してゆくのを感じ取る。でも私は偉大なる女。偉大なる指導者として輝かしい一歩を踏み出したのよ。マルクスが掲げた偉大なる共産主義の完全なる実現を果たす為にそれからオセアニアのような失敗を繰り返さない為の素晴らしい理想郷の国を作り上げる為に精々眼鏡を生かし続けるのは意味があると。そう、我慢したのよ!

 でもたまたま各コロニーを視察した際に5バンチで十代中盤の肌が白く、端正整う黒髪の女を目に飛び込んだ時……私の中で何かが弾けた。余りにも不気味な容姿に私は直ぐにその東洋人の女を清掃するよう部下に指示。何とかそいつの清掃を完了するも帰ってからずっと心は収まらない。

 そして私はそれを収める為に黒髪女を寄越した罪で眼鏡を整頓清潔清掃に処した。

 これでもう私を脅かす存在は居ない、そう思っていたのに……

更新日:2017-07-28 16:08:27

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ブラムヘイム クリスタルハート