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第参話

私はこの町に引っ越してきて真夜中町を見廻っている。
俗に言うパトロール。
この町には夜な夜な妖魔が集まるのでそれを対峙したり退治をしている。
妖魔は絶対的悪。滅するのが生業。
夜はいつもこんなもの。別に日々に苦は感じてはいません。
それが存在意義として育てられたものだし、そうしないと自己を否定したものと同じになると思って私はこれをやっている。
実際私の人生の半分は自己否定から始まっているのですが、もう生まれた頃から始まってる。だから改めて場を借りて言おう。
私は私が大嫌いだ。
私はあの家よりも私が大嫌いだ。
私の出生を知ったとき本気で死のうと思ったほどに。
だから私は感情を一時期消した。
けど彼に初めて会って感情が再び芽生えたとも言ってもいい。
そう、私の生まれて初めての友達の八ッ崎優に。
実のところを言うと私は彼に友情を超えて愛情すらも感じている。
好意という言葉が一番当てはまる。
彼とこの2~3ヶ月一緒に居たけど彼は悪魔なんかじゃない。
そこらへんにいる人間よりよっぽど善だ。
善人。
悪人なんかじゃない。悪魔なのに悪じゃない。
そんなところは彼に惹かれた理由の一つにしか過ぎないのだけど。
「ハァァァァア!!!」
と話している間にも異形っていう妖魔を殺した。
異形とはその名の通り異様な形を成してる妖魔。
固体によって形状が全て異なって、下級妖魔で下の中級といったところのものである。しかしこんな雑魚でも少し手間取ってしまう。
私は毎晩ある術を掛けてるから。
八ッ崎優に。
彼は悪魔になるという特殊な力を持っている。
自分の意思では半分しかなれないようだがそれでも十分に強い。
しかし、彼の内なる悪魔が覚醒したら手がつけられなくなる。
半分でも十分なのに完全となるとその倍。
下手したら倍以上。
二十分に強くなる。
しかし、彼の意識とは反しその時の彼の負の感情の強さで行為が変わる。
徹底的の暴力の仕方が。
下手をすれば殺す。いや、絶対に殺す。
彼は私に会う前「首切り」というここ最近半年間のもの間現れていた猟奇的快楽殺人者だ。
その毒牙に掛かった者は名の通り首が切り落とされ殺される。
それを約半年毎晩4~5人ほど殺って内なる悪魔はそれを食してたみたいだ。
かつて彼は言っていたけどプルフラスという悪魔は人間の頭部だけを餌にしていてそれのみを食し続けていたらしい。
上級悪魔ほど人間を食らうとき自分の好む部位だけを食す。
全てを喰らうなど下級、中級悪魔のすることだ。
そして彼はその上級悪魔プルフラスから魔障を受け悪魔になった。
他にもたくさん言い方はある。
プルフラスの奴隷なったとか下僕になったとか眷属にされたなどその他様々バリエーション豊かに存在している。
プルフラスの眷属だから食す部分とかが似るのかもしれない。
それによって僕は毎晩、内から現れる「首切り」を、悪魔を抑えるための封印の術を掛けている。
けど、その封印もそうは持たない。
例えば満月の晩とかは特に強く掛けないと効かない。だから彼は悪魔化の進行の停止を強く望んでいる。
これ以上、人として劣りたくないから。

更新日:2017-09-07 01:51:42

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