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ロクデナシとヒトデナシ

11月1日曇り

 今日もベスパーは平和です。
 お仕事も少なめでベスパー首長の執務室ではアッカーマンとフェレットが、一冊の本を頭突きつけ合わせて読んでいました。

 フェレットさんはまだ人の言葉が理解できない物がいっぱいあります。
 なので今日はブリテインの図書館から借りてきた本でお勉強です。
 わからないことがあればアッカーマンがめんどくせぇ、という顔をしながら一つ一つ教えます。

 またケリーが質問しました。
「ねーねーおっちゃん、『ロクデナシ』と『ヒトデナシ」ってどうちなうの?」
「くだらねぇなー・・・もうちょい意味のある質問しろよ。」
「ふぇれとわかんない!」

 最初はまじめに答えていたアッカーマンでしたが、何行か読むだけで飛んでくる質問の多さに辟易しておりました。
 難しい顔をして腕組みした人間の補佐は天を仰ぎます。
 しばらくしてヤケを起こしたような、投げやりな口調でぼそりといいました。
「あー・・・『ロクデナシ』は俺、『ヒトデナシ』はオレーグ。これでいいか?」

 おっちゃんは元詐欺師、オレーグは倫理観がとても薄い死霊術師です。
 どちらも昔はちょっぴり悪い人でした。
 フェレットは少しの間考えていましたが、やがて笑顔でうなづきました。
「なるほど!よくわかったもきゅ!」

 アッカーマンはがっくりと頭を垂れました。
「…いやそこ、納得するなよ?いまは更生してんだから、ちょっとくらい否定しろ?」
「もきゅ?」
 でもフェレットさんには一番わかりやすい説明には違いありませんでした。
 フェレットさんは無邪気にしっぽを振って、また本の続きを読み始めます。

 今日もベスパーは平和でした。

更新日:2017-07-11 21:48:12

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