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プロローグ


 薄暗い路地裏を歩くのもいつものこと。帰る時間が遅いのもいつものこと。学校へ行っても誰とも話すことが無い日は今日に限ったことではない。スマホの通知は心無い言葉の羅列が埋め尽くす。
 あたしは一人だ―――学校では所謂「いじめ」に遭っていて、頼れる人も相談できる人も居ない。両親は二年前に事故で他界。その後面倒を見てくれた祖母も去年他界した。両親と祖母が残してくれたお金と毎月のバイト代で、一人暮らしの生活もまかなうことができ、それももうすぐ一年になろうとしている。

 いじめに遭っていることで人生を悲観したことは無い。育ててくれた両親にも、その後面倒を見てくれた祖母にも悪いと思ったから。反論できず弱い立場に居る人間に群がり罵倒を浴びせ、時には手をもかける腐った底辺の人間を相手にしている時間が無駄だ。学校を卒業するのはあたしの今後の人生を左右することだから、そんな奴らの為に自分の経歴にキズを付ける気はなかった。だからとりあえず卒業はしようと我慢してきた。
 その我慢の生活も後少し。卒業したらあたしは晴れて自由の身。窮屈な世界から飛び出して行ける。それだけをただ目標にして毎日過ごしていた。

 彼らに出会うまでは―――

更新日:2017-06-11 23:27:07

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