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「さっきから僕の側でサポートしてくれてるのは、Christine〈クリスティン〉。」
「Christine!可愛い名前!」
「男の子だけどね。クリスって呼んであげて。」
「くりす~!」
「(何で急に幼くなるんだろう…?)」
「あそこにいるクリーパーカーのスケルトンはRobin、今は一人だけどいつもはクモと一緒に行動してる。ステラを助けたのも多分Robinじゃないかな。」
「良かったわね、ステラ。命の恩人にお礼言いたかったんでしょ?」
「うん!後で聞いてくるね!」
「あのガストはAmaretto、ちょっとした事ですぐヒス起こして火球飛ばしてくる問題児。」
「怖っ!ってか、よくネザーゲート潜れたわね…。」
「なんか無理矢理ついて来ちゃってね、そのままにしておくのもあれだから。火球は飛ばすなって何度も言ってるんだけどね~、なかなか。」
「あのふわふわ飛んでる金色の子は?何ですか?」
「あぁ、ブレイズ見たことない?ネザー砦に棲息してるモンスターでね、ブレイズロッドを落とすんだ。あの子はFinancier、すぐ人の喧嘩に乗っかって火を投げ散らかす問題児その2。」
「Financier…お前もか。」
「んで、あすこの黒くて大きいスケルトンが、ウィザースケルトンのArthur。大食漢でね~、人の分まで食べちゃう問題児その3。」
「Arthur…お前までもが…。」
「ま、大人しい子だから他の二人に比べたら大分マシだけどね。モンスターだし、人の言うことを聞くっていう概念は基本無いから。」
「た、大変ですね…。」
「好きでやってることだから大丈夫。根気よく躾すればいつかは理解するでしょ。それまではぶっ放す事前提で、施設の強化をしていけば特に問題は無いよ。」
あらかた修繕を終えた所で、Christineが戻って来る。
腕にブレスレットを嵌め、腰にはハサミ、首にはネクタイを下げている成体のエンダーマンだ。
Jujuと比べ、何処か憂いを帯びたような表情をし、ゆったりとソファに腰を沈める所作は、洗練されつつも少し気障ったらしくも見える。
「クリスは元々、エンダーマン好きのオッサンの所にいた子でね。Jujuのお兄ちゃん代わりでもあるんだ。Jujuもよく懐いてる。」
甘えたようにフォギュフォギュ鳴きながら、JujuがChristineに擦り寄る。
Christineは鬱陶しそうにしながらも満更ではなさそうで、吐息混じりに小さく鳴き声をあげた。
どうやら、エンダーマン同士の時はエンダーマンの言葉で喋っているらしい。
「エンダーマン好きのオッサンって、もしや…?」
「そそ、例のエンダーマン愛好家。相変わらず増やしちゃ逃げしてる。ま、お陰でエンダーマンの数は増えていってるから、そこんところは感謝かな。」
「確か、一時期絶滅危惧種に指定されてたんですよね?エンダーマン。」
「その割にはよく見掛けた気もするけど…。アイツら人の家を穴だらけにしおってからに…。」
すると、エルフィスがこちらを品定めするような瞳で舐め回した。
その視線に思わず身を固くすると、ふっと視線をそらし、溜息をつく。
「Juju、話したね?」
「…申し訳ございません。」
「ダメだって。例え本人達にその気は無くても、情報が漏洩する可能性があるんだからさ…。」
「…返す言葉もございません。」
「ま、話しちゃったもんは仕方ない。気を付けてよ、君だって無害なクラフターを巻き込みたくは無いでしょーに。」
「はい。」
Jujuがしょんぼりとするのを見兼ねて、Christineが励ますようにその肩を叩く。
ゆっくりと立ち上がったエルフィスが、二人を振り返って手を上げた。
「案内するよ。その為に来たんでしょう?」
ステラとサンドラは一瞬顔を見合わせ、パァァっと表情を綻ばせた。
更新日:2017-05-03 16:54:42