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モンスターハウスへようこそ!
降り注ぐ火球、ガストの奇声、スケルトンの怒鳴り声、ゾンビの呻き。
かなり大きな部屋の中は、まるでネザーの戦場のようであった。
あちこちで床やテーブル等の可燃ブロックが延焼し、引火したゾンビが慌てて水源に飛び込んでいる。
「おい!俺のリンゴ食ったの誰だよ!」
「きええええええ!きえええええええ!」
「止せ!燃える!」
「水~!水~!!」
「ステーキうめぇ。」
「早く鎮火!鎮火しろ!」
「誰かマスター呼んで来い!」
あまりの光景に、呆然と立ち尽くすステラとサンドラ。
その二人の隣で、手にした果ての石ブロックでせっせと火球を防いでいるJujuが苦笑混じりに零した。
「申し訳ありません、食事の時間はいつもこのような有様で…。」
「いつも?!」
「お恥ずかしい限りでございます。」
「よくもまあ…大破しないもんねぇ…。」
「下はエンドの石と岩盤ですので、穴が空くような事はありませんよ。壁は…表面の木材層は毎回延焼して張り直ししております。」
こちらに飛んできた火球を跳ね返しつつ、中に入る隙を窺っていると、奥の鉄扉が開いて、一人のクラフターが駆け込んできた。
横には、スラリとした黒い長身…エンダーマンだ。
「くぉら!喧嘩しとらんと早よ食べぇやぁ!!」
鶴の一声で、辺りがしん…と静まり返る。
見れば、モンスター達はハッとしたように我に返り、そのクラフターに向かって敬礼のように右手を上げている。
「サー!マスター!」
「全くもう、また張り直しじゃんかぁ…。」
「サー!マスター!」
「Amaretto〈アマレット〉、ヒス起こさない!Arthur〈アーサー〉、人の分まで食べない!Financier〈フィナンシェ〉、便乗して火吹かない!」
叱り付けられたモンスター達が、責任を取って鎮火に当たっている。
モンスターハウスの主は、既に用意していたのだろう木材を壁に張り付けていた。
燃える床材を消火しながら、二人と一体はそのクラフターに近付く。
「マスター、モンスターハウスを見学したいと仰るクラフター様お二人をお連れ致しました。」
「初めまして!ステラです!」
「サンドラです。よろしくお願いします。…えーっと。」
作業を中断して、こちらに向き直るクラフター。
何処かファンタジー世界の魔法使いを思わせるスキンは、モンスターと心通わす者に相応しいデザインだが、クラフターらしくは無い。
「エルフィスだよ。皆にはマスターって呼ばせてるけど。」
「エルフィスさん。」
「堅苦しい、呼び捨てで良いよ。敬語も丁寧語もいらないからね。」
「あ、はい。」
エルフィス、と名乗るクラフターは、木材を張り付けながら傍らのエンダーマンをぽんぽんと叩く。
指示を理解したのか、エンダーマンは一礼して木材を張り付け始めた。
張り替えをそのエンダーマンに任せ、エルフィスは近くの無事なソファに座るよう促す。
「取り合えずは、お疲れ様。」
「いえ、大丈夫でした!Jujuちゃんが色々してくれて…。」
「そう、それなら良かった。あ、改めて紹介するよ。名札付き〈ネームド〉モンスター最年少のエンダーマン、Jujuだよ。」
「Jujuちゃ~ん!…で、良いんだよね?」
「はい。私〈ワタクシ〉達に性別という概念はございませんが、そう呼ばれると気分が良いですね。」
「お、女の子だったんだ。てっきり男の子だと…。」
「Jujuは女性名でございます。」
「いや、性別の概念無いって自分で
「女性名です。」
…ごめんて。」
今にも怒り出しそうな目でサンドラを睨むJuju。
どうやら、男扱いされるのが余程嫌だと見える。
そんなJujuを宥めて、エルフィスはさらにメンバー紹介を続けた。
かなり大きな部屋の中は、まるでネザーの戦場のようであった。
あちこちで床やテーブル等の可燃ブロックが延焼し、引火したゾンビが慌てて水源に飛び込んでいる。
「おい!俺のリンゴ食ったの誰だよ!」
「きええええええ!きえええええええ!」
「止せ!燃える!」
「水~!水~!!」
「ステーキうめぇ。」
「早く鎮火!鎮火しろ!」
「誰かマスター呼んで来い!」
あまりの光景に、呆然と立ち尽くすステラとサンドラ。
その二人の隣で、手にした果ての石ブロックでせっせと火球を防いでいるJujuが苦笑混じりに零した。
「申し訳ありません、食事の時間はいつもこのような有様で…。」
「いつも?!」
「お恥ずかしい限りでございます。」
「よくもまあ…大破しないもんねぇ…。」
「下はエンドの石と岩盤ですので、穴が空くような事はありませんよ。壁は…表面の木材層は毎回延焼して張り直ししております。」
こちらに飛んできた火球を跳ね返しつつ、中に入る隙を窺っていると、奥の鉄扉が開いて、一人のクラフターが駆け込んできた。
横には、スラリとした黒い長身…エンダーマンだ。
「くぉら!喧嘩しとらんと早よ食べぇやぁ!!」
鶴の一声で、辺りがしん…と静まり返る。
見れば、モンスター達はハッとしたように我に返り、そのクラフターに向かって敬礼のように右手を上げている。
「サー!マスター!」
「全くもう、また張り直しじゃんかぁ…。」
「サー!マスター!」
「Amaretto〈アマレット〉、ヒス起こさない!Arthur〈アーサー〉、人の分まで食べない!Financier〈フィナンシェ〉、便乗して火吹かない!」
叱り付けられたモンスター達が、責任を取って鎮火に当たっている。
モンスターハウスの主は、既に用意していたのだろう木材を壁に張り付けていた。
燃える床材を消火しながら、二人と一体はそのクラフターに近付く。
「マスター、モンスターハウスを見学したいと仰るクラフター様お二人をお連れ致しました。」
「初めまして!ステラです!」
「サンドラです。よろしくお願いします。…えーっと。」
作業を中断して、こちらに向き直るクラフター。
何処かファンタジー世界の魔法使いを思わせるスキンは、モンスターと心通わす者に相応しいデザインだが、クラフターらしくは無い。
「エルフィスだよ。皆にはマスターって呼ばせてるけど。」
「エルフィスさん。」
「堅苦しい、呼び捨てで良いよ。敬語も丁寧語もいらないからね。」
「あ、はい。」
エルフィス、と名乗るクラフターは、木材を張り付けながら傍らのエンダーマンをぽんぽんと叩く。
指示を理解したのか、エンダーマンは一礼して木材を張り付け始めた。
張り替えをそのエンダーマンに任せ、エルフィスは近くの無事なソファに座るよう促す。
「取り合えずは、お疲れ様。」
「いえ、大丈夫でした!Jujuちゃんが色々してくれて…。」
「そう、それなら良かった。あ、改めて紹介するよ。名札付き〈ネームド〉モンスター最年少のエンダーマン、Jujuだよ。」
「Jujuちゃ~ん!…で、良いんだよね?」
「はい。私〈ワタクシ〉達に性別という概念はございませんが、そう呼ばれると気分が良いですね。」
「お、女の子だったんだ。てっきり男の子だと…。」
「Jujuは女性名でございます。」
「いや、性別の概念無いって自分で
「女性名です。」
…ごめんて。」
今にも怒り出しそうな目でサンドラを睨むJuju。
どうやら、男扱いされるのが余程嫌だと見える。
そんなJujuを宥めて、エルフィスはさらにメンバー紹介を続けた。
更新日:2017-05-03 16:53:56