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かなり規模の大きな洞窟の一角、二人のクラフターが剣を片手に荒い息をついていた。
松明の明かりに照らされて、遠くに微かに鉄鋼石のブロックが見える。
しかし、二人のクラフターはそれには見向きもせず、自分達が逃げてきた方向を警戒していた。
「クソッ!聞いてねーぞ、こんなの!」
片方のクラフターが、忌々しげに吐き捨てる。
「だから、言ったじゃないか!名札付き〈ネームド〉モンスターに手出しするのはルール違反だって!」
もう片方のクラフターがそう喚く。
「そんなこと言ったって、ダイヤだぞダイヤ!あんなもん付けてたら…
「…たら?」
ゾワッと、背筋に雪玉を滑り込ませたような悪寒が走る。
慌てて背後を振り向いて見ても、そこには水源がちょろちょろと音を立てて流れるのみであった。
「何処に…!」
「あ、あそこだ!」
片割れの、弱気なクラフターが指差す先。
紫色のパーティクルを身に纏い、松明の作り出す影に同化してしまいそうな漆黒の長身が、その紫色の瞳でクラフターをじっとりと見つめていた。
「いけませんよ、ルール違反は。まして、私〈ワタクシ〉は中立mob。敵性mobでもないのに、攻撃してきたのですから。」
「な、なんで…。」
ゆっくりと近付いて来る黒い長身…エンダーマンと呼ばれるモンスターだ。
視線を合わせたり、攻撃しない限りは、敵対しない比較的温厚なモンスターである。
その足に輝く、青白いブーツ。
クラフター達の狙いは、それだった。
「なんで、エンダーマンなのに、水に…?!」
「くっ…ダイヤブーツだ、ダイヤのブーツを履いてるから、水に浸かっても平気なんだ…バケモノめ!」
…そう、そのエンダーマンは、足にダイヤのブーツを履いていたのだ。
しかも、エンチャント効果も付いているらしく、紫色のエフェクトが表面を覆っている。
「ダイヤ装備欲しさに目がくらみましたか…全く、これではどちらがバケモノか、分かったものではありませんね…。」
「まっ…!」
「ごきげんよう。」
エンダーマンが、天井近くの砂利ブロックを引き抜く。
途端、クラフター達目掛けて天井一杯に溢れていた砂利ブロックが一気に雪崩落ちてきた。
このままでは窒息してしまう、すぐさまクラフター達が足元に松明を置こうとして…気付く。
背後から、水が大量に流れ込んで来ていることを。
「クソッ!クソッ!!覚えてろよ、ダイヤブーツーーーー!」
リスポーンしていくクラフター達に溜め息をつき、エンダーマンが浅瀬から岩場に上がった。
いくらブーツを履いているとはいえ、長らく冷たい水に足を浸けているのは、あまり気分の良いものではない。
「皆様、私〈ワタクシ〉の事を“ダイヤブーツ“と仰りますが、正確には私 の名はJuju〈ジュジュ〉でございます。名札にもございますでしょう?」
チャリ…と小さな音を立てて、エンダーマンの首に掛けられた名札が揺れる。
そこには、はっきりと“Juju”と、刻まれていた。
‐‐‐‐‐‐
松明の明かりに照らされて、遠くに微かに鉄鋼石のブロックが見える。
しかし、二人のクラフターはそれには見向きもせず、自分達が逃げてきた方向を警戒していた。
「クソッ!聞いてねーぞ、こんなの!」
片方のクラフターが、忌々しげに吐き捨てる。
「だから、言ったじゃないか!名札付き〈ネームド〉モンスターに手出しするのはルール違反だって!」
もう片方のクラフターがそう喚く。
「そんなこと言ったって、ダイヤだぞダイヤ!あんなもん付けてたら…
「…たら?」
ゾワッと、背筋に雪玉を滑り込ませたような悪寒が走る。
慌てて背後を振り向いて見ても、そこには水源がちょろちょろと音を立てて流れるのみであった。
「何処に…!」
「あ、あそこだ!」
片割れの、弱気なクラフターが指差す先。
紫色のパーティクルを身に纏い、松明の作り出す影に同化してしまいそうな漆黒の長身が、その紫色の瞳でクラフターをじっとりと見つめていた。
「いけませんよ、ルール違反は。まして、私〈ワタクシ〉は中立mob。敵性mobでもないのに、攻撃してきたのですから。」
「な、なんで…。」
ゆっくりと近付いて来る黒い長身…エンダーマンと呼ばれるモンスターだ。
視線を合わせたり、攻撃しない限りは、敵対しない比較的温厚なモンスターである。
その足に輝く、青白いブーツ。
クラフター達の狙いは、それだった。
「なんで、エンダーマンなのに、水に…?!」
「くっ…ダイヤブーツだ、ダイヤのブーツを履いてるから、水に浸かっても平気なんだ…バケモノめ!」
…そう、そのエンダーマンは、足にダイヤのブーツを履いていたのだ。
しかも、エンチャント効果も付いているらしく、紫色のエフェクトが表面を覆っている。
「ダイヤ装備欲しさに目がくらみましたか…全く、これではどちらがバケモノか、分かったものではありませんね…。」
「まっ…!」
「ごきげんよう。」
エンダーマンが、天井近くの砂利ブロックを引き抜く。
途端、クラフター達目掛けて天井一杯に溢れていた砂利ブロックが一気に雪崩落ちてきた。
このままでは窒息してしまう、すぐさまクラフター達が足元に松明を置こうとして…気付く。
背後から、水が大量に流れ込んで来ていることを。
「クソッ!クソッ!!覚えてろよ、ダイヤブーツーーーー!」
リスポーンしていくクラフター達に溜め息をつき、エンダーマンが浅瀬から岩場に上がった。
いくらブーツを履いているとはいえ、長らく冷たい水に足を浸けているのは、あまり気分の良いものではない。
「皆様、私〈ワタクシ〉の事を“ダイヤブーツ“と仰りますが、正確には私 の名はJuju〈ジュジュ〉でございます。名札にもございますでしょう?」
チャリ…と小さな音を立てて、エンダーマンの首に掛けられた名札が揺れる。
そこには、はっきりと“Juju”と、刻まれていた。
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更新日:2017-04-30 13:53:00