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#2 全面戦争前夜

あらから12年経った頃。僕は18歳。
12年経ったこの頃ようやく、生物兵器の全容がみえはじめていた。
生物兵器によって発症した病気と発症者はフェアーと呼ばれるようになっていた。
このフェアーは、人の心を支配し脳を狂わせるのだ。
狂った人々はフェアーの発症していない人を襲う。そして、喰らう。
だが、幸い感染症ではなかった。

この時、僕たち人類の敵は過激派組織ではなくなっていた。
僕たち人類の敵はフェアーだった。

この時から、ある謎が生まれていた。
生物兵器が放たれたのは、チージスだけであったにも関わらず、別の都市にもフェアーが蔓延していた。
いつしかバルケイト帝国中に病気が蔓延していた。
そして、国外へも広まっていったのだ。
感染症ではないのに...

研究者たちはある説を提唱した。
『フェアーの発症者たちは生殖活動を行っており、フェアーの発症した子供を産みだす。食事は主に人間。知性は完全に失っている。感染症ではない。』
そして、もうひとつ反撃への糸口を掴んだ。
『発症者たちに通常の銃や剣などの武器は通用しない。だが、クリストンという新兵器によってフェアーを死に至らしめることができる。』

クリストンはライフル銃のような形をした武器で、鉄の玉を発射する。
しかし、問題点があった。クリストンの製造に必要なダグロンという素材の確保が安定していなかった。その為、一部の軍部隊にしか配給されなかった。
フェアーは世界中に広まった。彼らは狂暴で多くの人を喰らった。
最初のうちは10万人程度のフェアーだったが、いつしか20億にも増えていた...
僕たち人類は、なすすべなくアルカントロスという城壁都市に立て籠った。



更新日:2017-04-23 12:13:07

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