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ああ、無情…。 前編
「えっ? 彼女とは以前から知り合いだったの?」
「ああ、一年くらい前かな、ある事件を通じて知り合ったんだ」
「じゃあ、新一、やっぱりハウスキーパーの話は嘘だったんだね」
「あっ、ああ、そのことはホントごめん! あいつにも怒られたし……。
急に彼女と暮らすことになってオメーに本当のことが言えなかったんだ」
ここは毛利探偵事務所ビルの一階にある喫茶『ポアロ』
先週ようやく左足のギプスが取れて明後日から高校へ復帰することになった工藤新一は、
その前に彼女と話がしたいと毛利蘭をポアロに呼び出したのだ。
蘭と話をするのはあの日以来。
そう、新一のギプスに書かれたラクガキを見た蘭が、
病室を飛び出していったあの時が最後──。
新一は一通だけ蘭へメールを送っていた。
『退院したら大事な話がある』
それが今日の約束。
志保との関係を一通り話し終えると、新一がコーヒーカップに口をつける。
飲み慣れているはずのポアロのコーヒーが今日は少しだけほろ苦い。
あれからひと月以上もたっているせいか、蘭は思ったより冷静に話を聞いている。
病院に見舞いに訪れた世良真純の話では……
鈴木園子がだいぶ蘭のフォローをしてくれたようだ。
良くも悪くも自分たちの関係を一番近くで見続けてきたのが園子だった。
「ああ、一年くらい前かな、ある事件を通じて知り合ったんだ」
「じゃあ、新一、やっぱりハウスキーパーの話は嘘だったんだね」
「あっ、ああ、そのことはホントごめん! あいつにも怒られたし……。
急に彼女と暮らすことになってオメーに本当のことが言えなかったんだ」
ここは毛利探偵事務所ビルの一階にある喫茶『ポアロ』
先週ようやく左足のギプスが取れて明後日から高校へ復帰することになった工藤新一は、
その前に彼女と話がしたいと毛利蘭をポアロに呼び出したのだ。
蘭と話をするのはあの日以来。
そう、新一のギプスに書かれたラクガキを見た蘭が、
病室を飛び出していったあの時が最後──。
新一は一通だけ蘭へメールを送っていた。
『退院したら大事な話がある』
それが今日の約束。
志保との関係を一通り話し終えると、新一がコーヒーカップに口をつける。
飲み慣れているはずのポアロのコーヒーが今日は少しだけほろ苦い。
あれからひと月以上もたっているせいか、蘭は思ったより冷静に話を聞いている。
病院に見舞いに訪れた世良真純の話では……
鈴木園子がだいぶ蘭のフォローをしてくれたようだ。
良くも悪くも自分たちの関係を一番近くで見続けてきたのが園子だった。
更新日:2017-04-22 13:07:07