• 1 / 1 ページ

序章

春。
如月サクラは桜が舞い散る青空の中、始業式の高校へ向かっていた。

『今年で高校最後の年だね。サクラは進路とか考えてるの?』

親友の女の子がふと質問して来た。

『ん〜。特に決まってないけど。
それよりもアイツが心配で…。』

『アイツって、幼馴染のあの軟弱男かぁ〜。アイツ、いつもイジメられてるもんね。サクラも幼馴染とはいえ、良く助けてあげてるよ!サクラは実家が武道やってるから、そこらの男の子よりも強いけど。普通サクラが守られる方じゃない!?』

『確かにね…。でもアイツ、小さい頃から私の事を守らないとって、優しいから、何か放って置けないんだ。』

『そうね〜。アイツ、てんで弱っちいくせにいつも口癖の様に言ってるね!
ん? サクラ!あれ見て!またイジメられてる!』




一人の男子高校生が数人の不良にからまれてる。
男子高校生は見るからにひ弱そうな身体つき、不良達は屈強な体付きで男子高校生の持っている小さな宝石の様な物を取り上げている。

『それを返せ!』
ボロボロになっても必死に取り返そうとする男子高校生。
『それは何故かは分からないけど、大切な物なんだ!』

『あ〜?そんなのは関係ねえよ。お前が金持って無いから、こいつを貰って売っぱらうんだからよ。』


『やめなさい!』


『さ…サクラ?』

『大丈夫?もう、あんた弱っちいんだから、そんな大切な物外に持ち歩かないの。』

『…ごめんねサクラ。いつも守られてばっかりで守ってあげられなくて。』

『あんたのその気持ちで十分よ。さぁ、あんたは下がってない!』

『は?小娘がなに言ってんだ?』
『あんなの無視して行こうぜ。』

不良達がどこかへ行こうと背中を向けた瞬間。

『はぁぁぁー!!』

サクラが気合と共に一人の不良を叩きのめす。

『なっ!?なんだ小娘が!』

倒した続けざまにもう一人に飛びかかり、脇に蹴りを入れるサクラ。
崩れる不良の腕を捻りあげながら…
『さっさと返しなさい。』

『ぐっ!』

不良から宝石を取り上げる。




『ありがとう。サクラ。』

『いつでもアタシが守ってあげるわよ。』

『それは僕のセリフだよ!』
『あっ。でもその石、先祖代々肌身離さず持って、誰にも触らせちゃいけないんだったけ…。』

『何細かい事言ってんのよ!まぁ、親には内緒にしておいてあげるわ…よ…』

『!!…さ…サクラ!』

サクラの身体が光輝く。

『えっ!?何これ?アタシの身体が…。』

『サクラ!!ダメだ!』

『サクラ!どうしたのよ!それ!』
駆けつけた友達がサクラの腕を掴もうとした瞬間。




サクラは光となって消えた。


『えっ? さ…サクラ? サクラは何処に行っちゃったのよ!』

『…僕はまた、守れなかった。』



かくして輪廻は回り出す。

更新日:2017-04-15 23:21:06

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook