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見知らぬ少女 『オメー、誰だよ!?』
灰原哀が解毒剤の副作用で記憶をなくしてから一か月以上が過ぎていた。
うだるような夏の暑さも過ぎ去り、穏やかな秋の日差しが差し込む日曜日の午後、
工藤邸を阿笠博士が訪ねて来る。
「あれぇ? 博士の方から訪ねて来るなんて珍しいな」
「おう、新一、おったんじゃな。捕まって良かったわい。
ちょっと相談したいことがあってな……」
工藤新一は二学期から無事に帝丹高校へと復学を果たすと、
九月に入ってからは忙しい毎日を送っていた。
再び高校生探偵として事件の捜査協力も始めたせいもあり、
阿笠邸へもなかなか顔を出せずじまいで、阿笠博士に会うのも久しぶりだった。
「新一、突然で悪いんじゃがな…………
来週の金曜日から志保君を預かってくれんかのう」
「えっ!? 博士、どうしたんだよ」
「来週からわしはヨーロッパに行くことになったんじゃ。
フサエさんが向こうでファッションショーを開くそうなんじゃが……
たぶん最後になるだろうから、是非わしに見に来て欲しいと言われたんじゃよ」
フサエさんとはフサエ・キャンベル・木之下といい、阿笠博士の初恋の人で、
博士はひょんなことから四十年ぶりに初恋の彼女と再会を果たした。
彼女と再会後はメールや電話のやり取りを通じて親交を深めてきたが、
半年ほど前に遅咲きの初恋を実らせ、正式に恋人として付き合うようになったのだ。
フサエ・キャンベルはフサエブランドを展開する世界的に有名なデザイナーであったが、
残りの人生は阿笠博士の近くにいたいと自らの仕事場を日本へと移すとともに、
フサエブランドの第一線から退くことを決断する。
そして、この秋、彼女のラストとなる春夏コレクションが────
ロンドン、パリ、ミラノといったヨーロッパのファンション都市で開催されるのだ。
うだるような夏の暑さも過ぎ去り、穏やかな秋の日差しが差し込む日曜日の午後、
工藤邸を阿笠博士が訪ねて来る。
「あれぇ? 博士の方から訪ねて来るなんて珍しいな」
「おう、新一、おったんじゃな。捕まって良かったわい。
ちょっと相談したいことがあってな……」
工藤新一は二学期から無事に帝丹高校へと復学を果たすと、
九月に入ってからは忙しい毎日を送っていた。
再び高校生探偵として事件の捜査協力も始めたせいもあり、
阿笠邸へもなかなか顔を出せずじまいで、阿笠博士に会うのも久しぶりだった。
「新一、突然で悪いんじゃがな…………
来週の金曜日から志保君を預かってくれんかのう」
「えっ!? 博士、どうしたんだよ」
「来週からわしはヨーロッパに行くことになったんじゃ。
フサエさんが向こうでファッションショーを開くそうなんじゃが……
たぶん最後になるだろうから、是非わしに見に来て欲しいと言われたんじゃよ」
フサエさんとはフサエ・キャンベル・木之下といい、阿笠博士の初恋の人で、
博士はひょんなことから四十年ぶりに初恋の彼女と再会を果たした。
彼女と再会後はメールや電話のやり取りを通じて親交を深めてきたが、
半年ほど前に遅咲きの初恋を実らせ、正式に恋人として付き合うようになったのだ。
フサエ・キャンベルはフサエブランドを展開する世界的に有名なデザイナーであったが、
残りの人生は阿笠博士の近くにいたいと自らの仕事場を日本へと移すとともに、
フサエブランドの第一線から退くことを決断する。
そして、この秋、彼女のラストとなる春夏コレクションが────
ロンドン、パリ、ミラノといったヨーロッパのファンション都市で開催されるのだ。
更新日:2017-04-10 23:16:22