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 哀れにも最初の犠牲となったのは別の仕事で来ていた助っ人。
”青豆”は「仕事のやり方が気に入らない」とばかりに、その助っ人に「仕事のやり方を変えないと危ない」などと、機械の操作方法などに難癖を付け始めたのだ。いつしかそれが高じて威嚇に近いものへと変わる。
 難癖をつけられた助っ人は恐怖の余りに、「殺される ! 警察を呼んでくれ」と叫んで仕事場の中を逃げ回った挙げ句、逃げ帰ってしまった。怖くて会社へは二度と来れなかったのだ。

 第二の犠牲者になるのは、同じ仕事の仲間になった新入り助っ人。
親方の信任に威を借りた、”青豆”の巧妙な手口だと知らない熊さんは、「難癖をつけられた二人のほうが悪い」と、そのときは思ったのだが……。
 さらに、”青豆”は触手を伸ばす。第三番目として熊さんが狙われる。

 青豆が1番目に使った手段は、「難癖と威嚇」

 最初の犠牲者である助っ人はあっさりとこれで落ちたのだが、それと同じやり方を、熊さんにも仕向け始めた。これを凌ぐ熊さんに、”青豆”は次の手を使いはじめる。

 青豆が2番目に使う手段は、「体で威嚇を表す」

 ”青豆”が使った最初の手段「難癖と威嚇」は口さきだけだが、これが相手に通じないとなると、自ら手を出して墓穴を掘らないように手を体の後ろで組み、口さきで相手を威嚇しながら何度も体を押しつけ伸し掛かかる。  第二の犠牲となった新入り助っ人の場合、伸し掛かられて閉口し思わず手を伸ばして”青豆”の体を引き離そうとした。”青豆”はその瞬間を待っていたのだ。
(新入り助っ人が”青豆”に暴力をふるったというが、このような手口を使って濡れ衣を着せたのか)
 熊さんが”青豆”の手口に気づいたときはすでに、”青豆”は体を熊さんを押しつけていた。
「何もできない癖に責任者のような顔をしやがって」
 唾を飛ばし罵りながら、”青豆”は執拗に何度も体を押しつけ、伸し掛かる。これをやられると”青豆”の汚い唾はかかるし、うっとうしくて仕方がない。熊さんは”青豆”の挑発に辟易した。
(濡れ衣を着せられてたまるか) 
 熊さんは手を出さないよう懸命にこらえた。それはさながら我慢比べ。
 すでに”青豆”は冷静に話しを聞く状態にないので、熊さんは、吠える”青豆”を相手にしなかったのだが、無視されたことで更に腹を立て、執拗に迫った。

 青豆が3番目に使う手段は、「徹底的に貶(おとし)める」

 そのやり方を洗脳と表現しては大袈裟だが、威嚇とは違い、緩急自在な口調で言葉を浴びせるように、相手が萎えて自信を無くするまで続けるのだ。
「あなたはこの仕事場で、長い間、何してきたの、そんなことさえできないの ?」
「あなたは決められたこともできない、無能な人間です」
 ”青豆”はまことしやかに熊さんの無能ぶりをあげつらい、浴びせかけた。さらには親方に、「熊さんは無能です」そう言って吹き込んだ。

 後日、熊さんは知るが、”青豆”がそこまでするのは訳があった。

更新日:2017-04-09 09:56:30

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