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襲撃

 77 襲撃①

「来ますかね」

 パクが訊いた。

 モーテルの隣にあるレストランで食事をしていた。

「来る。今夜だ」

 昴胤が言いきった。

「俺もそう思います」

 周も言った。

「じゃ、今夜は寝ずの番っすね」

 雄大が言う。

「雄大、嬉しそうじゃねえか」

「何言ってんすか。パクさんこそ嬉しそうっすよ」

「バカ言うんじゃねえ。俺は別に」

「おい、おまえら。舐めてると殺られるぞ。今回の相手は、そんなヤワな相手じゃない」

《瓶詰めレター(拙書第一彈)》事件ではドイツ軍と闘った。《ウォンジャポクタン(拙書第ニ彈)》事件では傭兵軍団と闘った。それぞれ鍛え上げられていた。

 だが、今回の《雪豹特殊部隊》は、一騎当千の強者集団だ。個々が、あらゆる殺しのテクニックを熟達している殺しのプロだ。軍隊であり軍隊ではない。

 そこが、これまでの相手と大きく違う。

「オッス!」

 雄大とパクが気合いの入った返事をした。

「今度は何人送り込んで来るでしょうか」

 周が昴胤に訊いた。

「最低でも2班は来るんじゃねえか」

 雄大が先に言う。

「俺もそう思うよ」

 パクが言った。

「予想なんてしないほうがいい。実態に則して動け」

「オッス!」 

「今から仮眠しておけ。ゼロ時ゼロ分(00時00分のこと)、道路向かいの路地に集合だ」

 来るとしたら、深夜2時から3時だろう。相手が相手だけに、用心にこしたことはない。


更新日:2017-07-27 16:13:33

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《田川昂胤(こういん)探偵事務所❸「ダルマは哭いた」》