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雪豹突撃隊の高簾

101 高簾①


 1班から10班まで各班4名総数40名の精鋭中の精鋭部隊。ところが最近不本意なことが続発している。

 ことの始まりは、ある民間人が保有する地図を奪取するといういとも簡単な任務からだった。

 最初に任務を受けた第10班が、ターゲットを車で追跡中どうしたことかいきなり皆殺し作戦の挙に出て反撃に合い、壊滅してしまった。

 任務を引き継いだ第8班は、第10班は民間人相手に何をしているのだとばかりに人質をとって呼び出し、第10班の仇をとるべく皆殺しを図ったところ、これも逆襲され、しかも隊員以外の者も引き連れていたが共に全滅。

《雪豹突撃隊》としては始めての衝撃の2連敗を喫す。あり得ないこと、あってはならないことだった。

《雪豹突撃隊》は、第10班の失敗を上に報告していなかった。だから、続く第8班の失敗も報告しなかった。というより、できなかった。

 上から督促がきた。次は絶対に失敗できない。

 これまでは、たかが民間人と舐めていた。今までの敵とは異質の集団を相手にしているという認識がなかった。自信過剰が禍となった。

 今度は、第3班、第4班、第7班の三班を同時に送り込んだ。第3班と第4班は射撃の名手揃い。第7班はあらゆるものの爆破を得意とする。格闘技は全員達人の域にある。万全の態勢だ。

 敵はモーテルに宿泊中。

 深夜。

 まず第3班と第4班が襲撃した。だが、捕獲された。全員一部屋に入ったのを確認した第7班は、期を置かず、味方が一緒なのを承知で何百発もの弾をあびせた。背水の陣だった。

 しかし、あろうことか仲間を殺しただけでなく返り討ちに合い、生き残ったのはかろうじて逃げのびた第7班長だけだった。



更新日:2017-06-23 14:50:02

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《田川昂胤(こういん)探偵事務所❸「ダルマは哭いた」》