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ホワイトデー
今日は仕事が早く終わった。
久し振りにニノに旨いもんでも作ってやろうって思って
近所のスーパーに向かった。
買い物籠をカートに積んで
店内を歩き回ってると
「ホワイトデーフェア」
ってコーナーが設置されてて
そこに沢山のお客さんが群がっていた。
あ・・・今日ってホワイトデーか・・・
すっかり忘れてた。
バレンタインデーにはニノから
今年もチョコレートケーキを貰って食べたんだよな。
あれは本当に美味かった。
良かった。ここに来なかったら
きっと忘れて機嫌を損ねちゃうところだった。
だけど、さすがにそこに近付いたら
俺の存在にきっと気付いて
騒ぎになっちゃうから
それは出来ないし・・・
今夜のメニューの食材だけ
籠に入れて、俺はレジに向かって歩き出した。
すると・・・
俺の目に飛び込んで来たのは
フルーツのコーナーに有った
苺だった。
真っ赤な苺の隣に並んだ白イチゴ。
あ~懐かしいな。
10年近く前だっけ・・・
ニノと実験の番組で食べた記憶が蘇った。
んふふ・・・これにしようっと。
値段は普通の苺より高めだったけど
これが甘いのを俺は知ってる。
俺は形が綺麗なのを選んで籠に入れ
レジで支払いを済ませて家に戻った。
夕方、仕事を済ませたニノが
何も知らずに家に戻って来た。
和 「ただいまぁ・・・」
智 「お帰り」
和 「へえ。夕食作ってくれてるんだ?
今夜は何ですか?」
智 「ニノが大好きなハンバーグ」
和 「ぃやったぁ~。俺、着替えてきますね」
それから2人で夕食を食べて
食後にコーヒーを淹れて
それと一緒にさっきスーパーで買った白イチゴを
皿に乗せてニノに差し出した。
和 「わわっ・・・何?白イチゴ?」
智 「うん。今日はホワイトデーだから・・・」
和 「あっ、そうか。忘れてた」
智 「それ見て思い出したの」
和 「あ~あれでしょ?驚きの嵐?」
智 「うん、2人で発見したんだよね」
和 「そうそう。日光に当てないと赤く育たなくて
でも味はめっちゃ甘いんだよね」
智 「覚えてんだ?」
和 「勿論ですよ。あの企画面白かったもん」
智 「おいらはお前と行ったロケは全部面白かった」
和 「もぉ~何だよ。今更恥ずかしいなぁ///」
智 「いいから食ってみて」
和 「それじゃ、頂きまぁーす・・・あっ甘~い」
智 「マジか・・・」
和 「ええ?バレンタインのお返しってこれだけかよぉ」
智 「んなわけないじゃん。いいか?」
俺は皿から大きめのイチゴを一つ取り上げて
ヘタの方を前歯で軽く挟んで
ニノの肩を抱いて、先っぽから食べろって
顎を突き出して伝えた。
ニノは口元を覆って笑った。
その仕草がなんとも可愛らしくて
俺も待ち構えながら
んふふふって笑った。
そして、嬉しそうに俺の両肩に手を乗せて
そのイチゴを先の方から
あーんって食べ始め
お互い半分くらいの所で
噛みちぎって
そのまま唇を重ねた。
そのままニノをソファーに押し倒して
その苺をモグモグやってるニノに
更に口付ける。
甘くて苺のイイ匂いが
ニノの口からふんわりと香ってくる。
もっと味わいたいから
奥深く絡ませてると
もう、苺の実は残ってなくて
だけどまだ甘酸っぱくて・・・
ちゅっ、くちゅっ、ちゅっ・・・
和 「っん・・・ねっ?」
智 「んっ?」
和 「あの頃も俺とこういう関係になりたいって
思ってました?」
智 「えっ?ニノは?」
和 「思ってたよ・・・」
智 「おいらも・・・」
悪戯に時間だけが過ぎたけど
好きという想いだけは
今も変わらず・・・
いや、きっとあの時以上に愛おしい。
思い出の白イチゴも
あの時と同じで・・・
何にも変ってないんだ。
それはきっとこれからも同じなんだって
俺は思いながら、白イチゴよりも白い
ニノの首筋に唇をそっと這わせると
甘い吐息がニノの口元から零れて
艶かしく身を捩った。
俺のホワイトデーのお返しは
甘い思い出を添えた
至って真面目な
愛してる・・・の、スペシャルバージョン。
満足そうにニノもそれを受け取ってくれた。
おわり
久し振りにニノに旨いもんでも作ってやろうって思って
近所のスーパーに向かった。
買い物籠をカートに積んで
店内を歩き回ってると
「ホワイトデーフェア」
ってコーナーが設置されてて
そこに沢山のお客さんが群がっていた。
あ・・・今日ってホワイトデーか・・・
すっかり忘れてた。
バレンタインデーにはニノから
今年もチョコレートケーキを貰って食べたんだよな。
あれは本当に美味かった。
良かった。ここに来なかったら
きっと忘れて機嫌を損ねちゃうところだった。
だけど、さすがにそこに近付いたら
俺の存在にきっと気付いて
騒ぎになっちゃうから
それは出来ないし・・・
今夜のメニューの食材だけ
籠に入れて、俺はレジに向かって歩き出した。
すると・・・
俺の目に飛び込んで来たのは
フルーツのコーナーに有った
苺だった。
真っ赤な苺の隣に並んだ白イチゴ。
あ~懐かしいな。
10年近く前だっけ・・・
ニノと実験の番組で食べた記憶が蘇った。
んふふ・・・これにしようっと。
値段は普通の苺より高めだったけど
これが甘いのを俺は知ってる。
俺は形が綺麗なのを選んで籠に入れ
レジで支払いを済ませて家に戻った。
夕方、仕事を済ませたニノが
何も知らずに家に戻って来た。
和 「ただいまぁ・・・」
智 「お帰り」
和 「へえ。夕食作ってくれてるんだ?
今夜は何ですか?」
智 「ニノが大好きなハンバーグ」
和 「ぃやったぁ~。俺、着替えてきますね」
それから2人で夕食を食べて
食後にコーヒーを淹れて
それと一緒にさっきスーパーで買った白イチゴを
皿に乗せてニノに差し出した。
和 「わわっ・・・何?白イチゴ?」
智 「うん。今日はホワイトデーだから・・・」
和 「あっ、そうか。忘れてた」
智 「それ見て思い出したの」
和 「あ~あれでしょ?驚きの嵐?」
智 「うん、2人で発見したんだよね」
和 「そうそう。日光に当てないと赤く育たなくて
でも味はめっちゃ甘いんだよね」
智 「覚えてんだ?」
和 「勿論ですよ。あの企画面白かったもん」
智 「おいらはお前と行ったロケは全部面白かった」
和 「もぉ~何だよ。今更恥ずかしいなぁ///」
智 「いいから食ってみて」
和 「それじゃ、頂きまぁーす・・・あっ甘~い」
智 「マジか・・・」
和 「ええ?バレンタインのお返しってこれだけかよぉ」
智 「んなわけないじゃん。いいか?」
俺は皿から大きめのイチゴを一つ取り上げて
ヘタの方を前歯で軽く挟んで
ニノの肩を抱いて、先っぽから食べろって
顎を突き出して伝えた。
ニノは口元を覆って笑った。
その仕草がなんとも可愛らしくて
俺も待ち構えながら
んふふふって笑った。
そして、嬉しそうに俺の両肩に手を乗せて
そのイチゴを先の方から
あーんって食べ始め
お互い半分くらいの所で
噛みちぎって
そのまま唇を重ねた。
そのままニノをソファーに押し倒して
その苺をモグモグやってるニノに
更に口付ける。
甘くて苺のイイ匂いが
ニノの口からふんわりと香ってくる。
もっと味わいたいから
奥深く絡ませてると
もう、苺の実は残ってなくて
だけどまだ甘酸っぱくて・・・
ちゅっ、くちゅっ、ちゅっ・・・
和 「っん・・・ねっ?」
智 「んっ?」
和 「あの頃も俺とこういう関係になりたいって
思ってました?」
智 「えっ?ニノは?」
和 「思ってたよ・・・」
智 「おいらも・・・」
悪戯に時間だけが過ぎたけど
好きという想いだけは
今も変わらず・・・
いや、きっとあの時以上に愛おしい。
思い出の白イチゴも
あの時と同じで・・・
何にも変ってないんだ。
それはきっとこれからも同じなんだって
俺は思いながら、白イチゴよりも白い
ニノの首筋に唇をそっと這わせると
甘い吐息がニノの口元から零れて
艶かしく身を捩った。
俺のホワイトデーのお返しは
甘い思い出を添えた
至って真面目な
愛してる・・・の、スペシャルバージョン。
満足そうにニノもそれを受け取ってくれた。
おわり
更新日:2017-03-15 16:11:50