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小説

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義父の苦悩

庄衛は覚悟した。
ベルトを䌂めるとズボンを脱いだ。
下半身は白いステテコである。

次にシャツを脱ぐ。
続けて白いTシャツも脱ぐと上半身は裸である。
それほど肉は付いていない上半身は歳にしてはしっかりとしている。
肘から手にかけては日焼けして色が変わっている。

庄衛は諦めたのであろう、ステテコを脱ぎ去ると白いふんどし一枚になる。

善吉は庄衛の苦境を忘れて思わず息をのむ。

古希を過ぎた老人の裸がそこにある。
庄衛は両手を脇にして立っている。
顔は生気をなくして自暴自棄の様相である。

勝俣はしっかり品定めしているようである。
「ふん・・・年寄りらしく味のある体だ・・・」
「それにふんどしというのもらしくて好きものもいるんだ」

「じゃ、それもとってももらおうか」

庄衛は無造作に前垂れを持ち上げるとその結び目を解く。
褌は一枚の布となってはらりと落ちる。

大方白くなって繁った草むらが見える。
その下に庄衛のものがぶら下がっている。

庄衛の頭髪は白髪、顔は日に焼けている、全体的に太ってはいない均整のとれた部類である。
体と同じように大きくも感じない、小さくも感じない、これも均整がとれているのかもしれない。
ひときわ黒い皺しわの袋がぶら下がっている。

「体は合格だな」
「これは、今でも役に立つのだろう?」
そう言いながら勝俣は庄衛のものを指さす。

「まっ、いいさ・・・薬をやればどうにでもなる」
「役に立たなければ黒黒の受け専門でも仕事はあるさ」

「次にこちらに尻を向けて四つん這いになれ」

老人がすべてを取り去られて裸で弄ばれているような景色である。
庄衛はまさに人身御供そのものである。
いかにもか弱そうな老人が・・・裸で・・いわれるままに・・・。

善吉はかわいそうでならなかった。
庄衛のためにならこの体を代わりに差し出そう・・・。

「もうやめくれ!」
善吉は思わず叫ぶ。

庄衛はもう夢遊病者のようにしゃがむ。
勝俣は庄衛の菊座を観察する。
「ふ~ん、きれいな穴だ。よし、ここは毛を剃るだけで行ける」

「やめてくれ、親父を返してくれ!・・・どうすれば返してくれるんだ?」

勝俣は善吉の方を見る。
「帰してやるさ、金を揃えてもってこい!それだけのことさ」

善吉は飛び出して土下座する。
床に頭を付けて哀願する。
「お願いだ、おれの親父だ、何でもするから許してくれ」

「じゃ、お前が代わりをするか?」

「なんでもする、親父を許してくれ」

「ようし、それならお前も身体検査をするから脱げ」

それを聞いて庄衛は叫ぶ。
「善吉よせ、わしのまいた種だ、わしが刈るしかないのだ」

善吉は服を脱ごうすると、庄衛が善吉に抱きついてそれを阻止しようとする。

「親子愛ってやつか?茶番だぜ」男が言う。

勝俣が少々困ったような表情になったのがわかる。
二人を案内した男に向かって言う。
「お前がこの息子を連れてこなければスムースに行ってのに・・ばかもん」

「俺にも一応人並みに情けはあるから条件を出そう」

「今日は親父を連れて帰ってもよいぞ、ただし今日の親父の稼ぎは10万だ、それが今日一日の見受け代だ」

「善吉、もう良い。わしがかたをつけるから・・・」
庄衛の声は震えていた。
顔を見ると涙が溢れそうである。

「お義父さん、今日は帰りましょう・・」

「分かった今日はこれで帰らせてもらう」
善吉はなけなしの10万円を財布から取り出して渡すと庄衛に服を着せ始める。

勝俣は二人に向かって追い打ちをかけるがごとく話しかける。

「生命保険の免責が解けるまで半年ある」

どういうことだろう?すぐには善吉の頭は理解できなかった。
「最近は事故死ってのは警察の目が厳しくてな・・・」
「俺たちは金に困った人を助けてるだけだ」

勝俣の言ってることが分かってきた。
保険金を得るためには被保険者が死亡する必要がある。
ただそれを事故で実現するのはリスクが高いということらしい。
テレビドラマそのままの話である。
免責が開けるのを待って自殺しろと言っているのに等しい。

「それまで利息をちゃんと払えるか?週に付き15万円だぞ」
「毎週もってこい、来なければ今度は本当に体で払ってもらう」
「それで良いなら、今日は帰って良いぞ」

「お義父さん帰りましょう」
善吉は庄衛の体を抱えるようにして部屋を出た。

庄衛の身が心配で車はそのまま放置して善吉の車に乗せて車を走らせる。

二人は何も話さない。

何を話せばよいか分らなかった。

庄衛は項垂れている。
手は固く握って泣いているように見える。

庄衛が哀れであった。
善吉は車を道路わきに停める。

更新日:2017-03-11 15:54:30