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そうして、哀が消えてから三カ月後、ついに黒の組織が崩壊した。

相次いで幹部が逮捕され、彼らの逮捕を見届けるように、
あの方は身を隠していた邸宅のリビングでテレビを見ながら息絶えていた。

けれど、そこでも哀の姿は見つからなかった。

FBIや日本警察による逮捕した幹部たちの厳しい取り調べが始まると、
No.2のラムの供述からようやく哀の手がかりが手に入る。

ラム曰く、哀の監禁場所はあの方が最も愛した土地、彼の生まれ故郷だという。

直ちに赤井秀一らFBIの捜査員があの方が生まれ育った街へと向かった。
もちろんコナンも赤井の車に同乗する。
彼らが到着したのは風光明媚な海辺の街だった。

太平洋を見下ろす高台に彼の古い別荘があった。
以前はよくこの別荘に夏になると訪れて、避暑を楽しんでいたらしい。

コナンと赤井達は別荘に到着するやいなや、広い別荘内をくまなく探索し始める。

建物は古ぼけていたが、家具はほこりもかぶっておらず、
直近まで誰かがここで別荘の管理をしていた様子だった。

しかしながら、なかなか哀の痕跡は見つからなかった。

一度別荘内をすべて見て回ると、コナンはある部屋に舞い戻った。
そこは書斎だった。

あの方は本が好きだったのか……。

書斎の本棚には書物がぎっしりと並べられ、
工藤邸に負けず劣らず広くて立派なものだった。

コナンはここに何かがあると直感する。

なぜ、あの時そう思ったかは探偵の勘としか言いようがないが……。

いや、ベルモットの言葉が頭を過ったのだ。

あの方のお気に入りの場所。

もしも彼もまた自分と同じように読書をこよなく愛する人物だとしたら────

更新日:2017-02-25 12:21:44

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小さな恋、見つけた。【コナンでコナン×哀】 小学生時代