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リーダー
その日の夜、俺は夢を見た。
小舟で凪いだ水の上に浮かんでて…周りは霧で何も見えない。
手を水に浸したら、凄く冷たかった。
背中に気配を感じて振り返ると、居た。会いたくて仕方なかった人が。
「…リーダー…」
柔らかな笑顔に抱き着いていく。
気が付くと、シーツの波にのまれて、俺はあられもない格好であの人の愛撫を受けていて…。
「…あっ…はっ、はぁ…んん…相変わらずの変態っぷり…ですね…ああ…」
あの人が鼻の頭に皺を寄せて何か言った。
「…え?聞こえない…」
優しい眼差しはすぐそこにあるのに、絶妙に心得た愛撫に体は痛い程感じるのに、あんたの声が聞こえない…見つめ合い、深く受け入れて、ぞくぞくする快感にあんたも顔を歪めるのに、吐息ひとつ聞こえてこない…。
胸が締め付けられて、目頭が熱くなった。
俺は涙に濡れながら、仰け反り、放った…。
白々しい朝の光の中で、下着の気持ち悪さに目が覚めた。
…夢、か…。
最悪だ。
目も腫れぼったいし、体中、変に、疼く。
だるい…。
でも、今日はレギュラーのバラエティの撮りだっけ…。
俺はやっとの思いで起き出して、支度を始めた。
***
ちょっと待て。何だ、アレ。超ヤバくね?
俺の目が釘付けになってんのは、色気だだ漏れのニノ。
少しだるそうに椅子に座って、いつも通りゲームやってんだけど、俯いた首筋や、物憂げな目元がほんのり色づいて、襲って下さい。と、言わんばかりの風貌だ。
そう言えば以前にも何度かあったな。こんなこと。その時は、同時にリーダーも凄く眠そうなのにご機嫌だったっけ。
え…?ってことは、何?…色疲れ?
ちょ、相手誰だよ?!
思いそこに至り目を剥くと、翔さんに話し掛けられた。
「松本君、彼の御仁は、何やら不穏な空気を纏っておりますなぁ」
へらへらしてる翔さんは、なんだかドヤ顔に見えた。
「翔さん…まさかっ!」
「ちょ、ちょっと待って、俺じゃないよぉ。俺は雅紀一筋なんだから」
そうか。そうだよな。
掴みかかった手を引っ込めた。
「ご、ごめん…」
「いいけど…。ねぇ、気になるぅ?」
俺は目を逸らす。
「気に…なるよね?」
「…わかりきったこと訊くなよ」
「じゃさ、本人に訊いてみればいいじゃない」
「簡単に言うなよ…」
「連れ出す口実を作ってあげよう」
なんだ?この人。気持ち悪い薄ら笑いなんか浮かべちゃって。
翔さんは、そのままニノの隣に座ってる相場くんの所に行った。そして、イチャつきだした。
椅子をぴったりと寄せて肩を抱き寄せ、空いている方の手で相葉くんの手を握った。
「えっ?!何?!翔ちゃんどうしたの?!」
相葉くんが驚くのも無理はない。今まで、翔さんが人前でこんなことしたことない。ほら、ニノも驚いて顔を上げた。
翔さんは、相葉くん越しにニノを見据えて囁く。
「雅紀…もっと傍へ寄って?」
「ええ…?!もう寄れないよ」
相葉くんは、ニノや俺を気にしてる。
照れる相葉くんに、攻める翔さん。二人の間から甘いムードが漂い始め、俺なんか毒気に当てられて汗を掻いてきた。
でもすぐ傍に居るニノは、平然とゲームを再開していた。
それに対抗してか、翔さんはムキになってきたようだ。とうとう、相葉くんのほっぺたにキスをして、首元に顔をうずめた。
「あっ…翔ちゃん、ダメッ」
その声のヤバいこと…!
ニノの片眉が上がり、イライラと顔を上げると、
「もう!何やってんの?!イチャつくなんてのは家でやんなさいよ!」
と、声を荒げた。
「嫌だね。何をしようが俺らの勝手。ニノの方こそ、気を利かせてくれてもいいんじゃないかなぁ」
翔さんは、相葉くんの手をこねくり回している。
二人の間で、顔を真っ赤にして困り切っている相葉くんが気の毒ってゆうか、もう俺も見ていられなくて、声を出した。
「ニノ…!一緒に外、行こう!…そうだ!コーヒーでも飲みに行こう!なっ!そうしよう?」
言いながらニノの腕を掴んだ。ニノは、
「ちょっと待って」
と言うと、ゲームを終わらせて立ち上がった。
「じゃ、そういうことで…ごゆっくり」
苦笑いで手を振ると、相葉くんに抱き着いた翔さんは、その肩越しに手を振って、相葉くんは後ろ向きのまま、その翔さんの背中越しに振ってる手だけが見えた。
ドアを閉める時、聞こえてきた会話は…。
「翔ちゃん、どうしたの?急に。あれじゃ二人を追い出したみたいだよ?」
「そうだよ。一石二鳥の作戦なんだよ」
「一石二鳥って?」
「潤とニノ。俺と雅紀の為に…。ね?折角二人っきりになったんだから、さっ…ん~」
「ダメ。俺、途中で止めらんない。何だかわかんないけど、とにかく夜までおあずけっ!」
「ちぇ…」
「だけど翔ちゃん、こんなこと、もうダメだからねっ!今夜はお仕置きだから!」
「…マジ?」
翔さん。マジって声、喜んでないか?
小舟で凪いだ水の上に浮かんでて…周りは霧で何も見えない。
手を水に浸したら、凄く冷たかった。
背中に気配を感じて振り返ると、居た。会いたくて仕方なかった人が。
「…リーダー…」
柔らかな笑顔に抱き着いていく。
気が付くと、シーツの波にのまれて、俺はあられもない格好であの人の愛撫を受けていて…。
「…あっ…はっ、はぁ…んん…相変わらずの変態っぷり…ですね…ああ…」
あの人が鼻の頭に皺を寄せて何か言った。
「…え?聞こえない…」
優しい眼差しはすぐそこにあるのに、絶妙に心得た愛撫に体は痛い程感じるのに、あんたの声が聞こえない…見つめ合い、深く受け入れて、ぞくぞくする快感にあんたも顔を歪めるのに、吐息ひとつ聞こえてこない…。
胸が締め付けられて、目頭が熱くなった。
俺は涙に濡れながら、仰け反り、放った…。
白々しい朝の光の中で、下着の気持ち悪さに目が覚めた。
…夢、か…。
最悪だ。
目も腫れぼったいし、体中、変に、疼く。
だるい…。
でも、今日はレギュラーのバラエティの撮りだっけ…。
俺はやっとの思いで起き出して、支度を始めた。
***
ちょっと待て。何だ、アレ。超ヤバくね?
俺の目が釘付けになってんのは、色気だだ漏れのニノ。
少しだるそうに椅子に座って、いつも通りゲームやってんだけど、俯いた首筋や、物憂げな目元がほんのり色づいて、襲って下さい。と、言わんばかりの風貌だ。
そう言えば以前にも何度かあったな。こんなこと。その時は、同時にリーダーも凄く眠そうなのにご機嫌だったっけ。
え…?ってことは、何?…色疲れ?
ちょ、相手誰だよ?!
思いそこに至り目を剥くと、翔さんに話し掛けられた。
「松本君、彼の御仁は、何やら不穏な空気を纏っておりますなぁ」
へらへらしてる翔さんは、なんだかドヤ顔に見えた。
「翔さん…まさかっ!」
「ちょ、ちょっと待って、俺じゃないよぉ。俺は雅紀一筋なんだから」
そうか。そうだよな。
掴みかかった手を引っ込めた。
「ご、ごめん…」
「いいけど…。ねぇ、気になるぅ?」
俺は目を逸らす。
「気に…なるよね?」
「…わかりきったこと訊くなよ」
「じゃさ、本人に訊いてみればいいじゃない」
「簡単に言うなよ…」
「連れ出す口実を作ってあげよう」
なんだ?この人。気持ち悪い薄ら笑いなんか浮かべちゃって。
翔さんは、そのままニノの隣に座ってる相場くんの所に行った。そして、イチャつきだした。
椅子をぴったりと寄せて肩を抱き寄せ、空いている方の手で相葉くんの手を握った。
「えっ?!何?!翔ちゃんどうしたの?!」
相葉くんが驚くのも無理はない。今まで、翔さんが人前でこんなことしたことない。ほら、ニノも驚いて顔を上げた。
翔さんは、相葉くん越しにニノを見据えて囁く。
「雅紀…もっと傍へ寄って?」
「ええ…?!もう寄れないよ」
相葉くんは、ニノや俺を気にしてる。
照れる相葉くんに、攻める翔さん。二人の間から甘いムードが漂い始め、俺なんか毒気に当てられて汗を掻いてきた。
でもすぐ傍に居るニノは、平然とゲームを再開していた。
それに対抗してか、翔さんはムキになってきたようだ。とうとう、相葉くんのほっぺたにキスをして、首元に顔をうずめた。
「あっ…翔ちゃん、ダメッ」
その声のヤバいこと…!
ニノの片眉が上がり、イライラと顔を上げると、
「もう!何やってんの?!イチャつくなんてのは家でやんなさいよ!」
と、声を荒げた。
「嫌だね。何をしようが俺らの勝手。ニノの方こそ、気を利かせてくれてもいいんじゃないかなぁ」
翔さんは、相葉くんの手をこねくり回している。
二人の間で、顔を真っ赤にして困り切っている相葉くんが気の毒ってゆうか、もう俺も見ていられなくて、声を出した。
「ニノ…!一緒に外、行こう!…そうだ!コーヒーでも飲みに行こう!なっ!そうしよう?」
言いながらニノの腕を掴んだ。ニノは、
「ちょっと待って」
と言うと、ゲームを終わらせて立ち上がった。
「じゃ、そういうことで…ごゆっくり」
苦笑いで手を振ると、相葉くんに抱き着いた翔さんは、その肩越しに手を振って、相葉くんは後ろ向きのまま、その翔さんの背中越しに振ってる手だけが見えた。
ドアを閉める時、聞こえてきた会話は…。
「翔ちゃん、どうしたの?急に。あれじゃ二人を追い出したみたいだよ?」
「そうだよ。一石二鳥の作戦なんだよ」
「一石二鳥って?」
「潤とニノ。俺と雅紀の為に…。ね?折角二人っきりになったんだから、さっ…ん~」
「ダメ。俺、途中で止めらんない。何だかわかんないけど、とにかく夜までおあずけっ!」
「ちぇ…」
「だけど翔ちゃん、こんなこと、もうダメだからねっ!今夜はお仕置きだから!」
「…マジ?」
翔さん。マジって声、喜んでないか?
更新日:2017-03-02 14:57:38