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甘い夜
うふふ…。
エレベーターの鏡に映しておしゃれチェック。大丈夫。かなりイケてる。
なんてったって、バレンタインに恋人の部屋にお呼ばれって、そりゃあ期待するでしょ?!
バッチリおめかしして、赤いバラの花束も用意したし、今夜は甘い夜になりそうだなっ♪
扉の横のインターフォンを鳴らす。
あなたの雅紀くんが来ましたよ。早くドアを開けてね。
少しして、とても甘い香りを纏った潤が、ドアを大きく開けて招き入れてくれた。
「くん。くん。いい匂い。わかった!チョコでしょ?!」
「まぁね。バレンタインだからね。雅紀に、ショコラティエ潤特製チョコ、食わしてやろうと思ってね」
「ベタですねー」
「なんだよ。そっちこそ赤い薔薇なんか持って、それも相当ベタだよ」
「いや、いや。これは、後でちょっとしたお楽しみがあるからね。でも、それまでどっかに活けておいてよ」
バラを渡す。俺なんかより様になってる。悔しいけど。
「先、座ってて」
そう言って、潤は洗面所の方へ行った。俺はリビングに行って、完璧にセッティングされたテーブルの前に座った。
戻った潤はバラを一輪持ってきた。そして、テーブルの真ん中に水を入れたブランデーグラスを置くと、茎を短く切ったバラを浮かべた。
「さすが!おしゃれだね!」
「背の高い花瓶じゃ、雅紀が倒しかねないからね」
「えー、俺、そんな粗忽者じゃないよ!」
潤は、いぢわるな笑顔を見せてキッチンに消えた。そして、おしゃれなバレンタインディナーを持ってきてくれた。
カラフルなサラダに、ソースのかかったオムレツ。それから、スープパスタ。
「すげー。うぅまぁそっ!レストランみたいだね!」
「じゃ、シャンパンでも開けましょうか?」
「いいねぇ!」
「映画なんかだったら、ここでライトを暗くしてキャンドルなんか灯すんだろうけど、実際は、ちょっと暗過ぎるんだよね」
「そうなんだぁ。じゃ、いただきまぁす!」
「どうぞ。召し上がれ」
俺はオムレツを一口、口に放り込んだ。
「んー!ふわとろ!」
「その顔が見たかった。雅紀の喜ぶ顔が」
男前オーラ全開で言われちゃ、照れるしかないでしょっ?!で、慌ててスープを飲んで、アチッ!ってなって、シャンパングラスを倒しそうになるってゆう…。
「ご、ごめん!」
「いいよ。雅紀の場合、これぐらいは想定内だから」
少し零れたシャンパンを拭きながら潤が言う。
「それより、さ、食べよ」
「う、うん。ごめん」
「なんなら、俺が食べさせてやるよ」
潤がパスタをクルクルと巻き取って、フーフーしてから口に運んでくれる。
「はい、あーん」
その可愛さに釣られて大きく口を開けた。
「あーん」
潤の手料理を潤にあーんしてもらうなんて、ねっ?!こんな幸せ者、他にいないよ?!
こんな感じで、他の人が見たら引いちゃうぐらいラブラブな食事をして、さぁ、いよいよお待ちかねのチョコ!嵐のスイーツ男子、副部長の俺としては、相当楽しみなトコロ。なんてったって「ショコラティエ潤」だからね。
出てきたのは五粒のチョコ。
それが、長方形のガラスのお皿に並んでる。
「わぁ。みんな違うんだね。なんかさ、嵐みたい」
「そう。どれが誰だかわかる?」
「あっ、このホワイトチョコはニノでしょ!」
「さすが。瞬殺でわかっちゃったね」
「トリュフは…翔ちゃん?」
「正解!」
「だって、外ではしっかり者だけど、中は結構子どもっぽいってゆうか…少年ってゆうか。ねっ」
「そう。コーティングはビターチョコだけど、中には生クリームをたっぷり使ったガナッシュが入ってる」
「じゃ、このシンプルな型抜きのは…リーダー?いや、こっちのドライフルーツとかナッツの刻んだのとかが乗った派手なのがリーダー?」
「さぁ、どっちだ?」
俺はチョコと潤とを見比べながら考える。
潤の顔見てたら、やっぱ答えはこれしかないでしょ?!
「このシンプルなのがリーダー!で、派手なのが潤!それで、残ったこの、ちょっと形の歪なのは、俺!どう?!」
「ぶっぶー!」
「ええ?!違うのぉ?!」
「シンプルなのは俺。飾りの沢山付いてるのがリーダー」
「ええー?理由はぁ?」
「この飾りは才能なんだ。うちのリーダーは才能豊かだからね」
「なるほど。納得した。でも、なんで俺だけこんなデコボコ…あっ、何か入ってる」
「そう。中には、ローストした千葉県産ピーナッツがぎっしり詰まってる」
「ピーナッツチョコかぁ!」
「さぁ、わかったところで誰から食べる?」
「え?」
誰から…って、俺が食べたいのは潤だけだけど…って、そうか。チョコの話だよね。
「じゃ、これ。リーダーから」
「では、才能豊かなリーダーに、二人であやかりますか」
そう言って潤はやや短めで、細長いそのチョコの端を咥えた。
「ん!」
「あ…う、うん。ど、どっちから…」
エレベーターの鏡に映しておしゃれチェック。大丈夫。かなりイケてる。
なんてったって、バレンタインに恋人の部屋にお呼ばれって、そりゃあ期待するでしょ?!
バッチリおめかしして、赤いバラの花束も用意したし、今夜は甘い夜になりそうだなっ♪
扉の横のインターフォンを鳴らす。
あなたの雅紀くんが来ましたよ。早くドアを開けてね。
少しして、とても甘い香りを纏った潤が、ドアを大きく開けて招き入れてくれた。
「くん。くん。いい匂い。わかった!チョコでしょ?!」
「まぁね。バレンタインだからね。雅紀に、ショコラティエ潤特製チョコ、食わしてやろうと思ってね」
「ベタですねー」
「なんだよ。そっちこそ赤い薔薇なんか持って、それも相当ベタだよ」
「いや、いや。これは、後でちょっとしたお楽しみがあるからね。でも、それまでどっかに活けておいてよ」
バラを渡す。俺なんかより様になってる。悔しいけど。
「先、座ってて」
そう言って、潤は洗面所の方へ行った。俺はリビングに行って、完璧にセッティングされたテーブルの前に座った。
戻った潤はバラを一輪持ってきた。そして、テーブルの真ん中に水を入れたブランデーグラスを置くと、茎を短く切ったバラを浮かべた。
「さすが!おしゃれだね!」
「背の高い花瓶じゃ、雅紀が倒しかねないからね」
「えー、俺、そんな粗忽者じゃないよ!」
潤は、いぢわるな笑顔を見せてキッチンに消えた。そして、おしゃれなバレンタインディナーを持ってきてくれた。
カラフルなサラダに、ソースのかかったオムレツ。それから、スープパスタ。
「すげー。うぅまぁそっ!レストランみたいだね!」
「じゃ、シャンパンでも開けましょうか?」
「いいねぇ!」
「映画なんかだったら、ここでライトを暗くしてキャンドルなんか灯すんだろうけど、実際は、ちょっと暗過ぎるんだよね」
「そうなんだぁ。じゃ、いただきまぁす!」
「どうぞ。召し上がれ」
俺はオムレツを一口、口に放り込んだ。
「んー!ふわとろ!」
「その顔が見たかった。雅紀の喜ぶ顔が」
男前オーラ全開で言われちゃ、照れるしかないでしょっ?!で、慌ててスープを飲んで、アチッ!ってなって、シャンパングラスを倒しそうになるってゆう…。
「ご、ごめん!」
「いいよ。雅紀の場合、これぐらいは想定内だから」
少し零れたシャンパンを拭きながら潤が言う。
「それより、さ、食べよ」
「う、うん。ごめん」
「なんなら、俺が食べさせてやるよ」
潤がパスタをクルクルと巻き取って、フーフーしてから口に運んでくれる。
「はい、あーん」
その可愛さに釣られて大きく口を開けた。
「あーん」
潤の手料理を潤にあーんしてもらうなんて、ねっ?!こんな幸せ者、他にいないよ?!
こんな感じで、他の人が見たら引いちゃうぐらいラブラブな食事をして、さぁ、いよいよお待ちかねのチョコ!嵐のスイーツ男子、副部長の俺としては、相当楽しみなトコロ。なんてったって「ショコラティエ潤」だからね。
出てきたのは五粒のチョコ。
それが、長方形のガラスのお皿に並んでる。
「わぁ。みんな違うんだね。なんかさ、嵐みたい」
「そう。どれが誰だかわかる?」
「あっ、このホワイトチョコはニノでしょ!」
「さすが。瞬殺でわかっちゃったね」
「トリュフは…翔ちゃん?」
「正解!」
「だって、外ではしっかり者だけど、中は結構子どもっぽいってゆうか…少年ってゆうか。ねっ」
「そう。コーティングはビターチョコだけど、中には生クリームをたっぷり使ったガナッシュが入ってる」
「じゃ、このシンプルな型抜きのは…リーダー?いや、こっちのドライフルーツとかナッツの刻んだのとかが乗った派手なのがリーダー?」
「さぁ、どっちだ?」
俺はチョコと潤とを見比べながら考える。
潤の顔見てたら、やっぱ答えはこれしかないでしょ?!
「このシンプルなのがリーダー!で、派手なのが潤!それで、残ったこの、ちょっと形の歪なのは、俺!どう?!」
「ぶっぶー!」
「ええ?!違うのぉ?!」
「シンプルなのは俺。飾りの沢山付いてるのがリーダー」
「ええー?理由はぁ?」
「この飾りは才能なんだ。うちのリーダーは才能豊かだからね」
「なるほど。納得した。でも、なんで俺だけこんなデコボコ…あっ、何か入ってる」
「そう。中には、ローストした千葉県産ピーナッツがぎっしり詰まってる」
「ピーナッツチョコかぁ!」
「さぁ、わかったところで誰から食べる?」
「え?」
誰から…って、俺が食べたいのは潤だけだけど…って、そうか。チョコの話だよね。
「じゃ、これ。リーダーから」
「では、才能豊かなリーダーに、二人であやかりますか」
そう言って潤はやや短めで、細長いそのチョコの端を咥えた。
「ん!」
「あ…う、うん。ど、どっちから…」
更新日:2017-02-18 16:22:01