友人からもらった伝書鳩
十 友人からもらった伝書鳩
柔らかな陽射しを浴びて午睡をするような、そんな日々をいつしか過ごしたいと思っていた。何物にも囚われず、どんなものにも臆しない、そんな穏やかな晩年が送れたら――と願っていた。
それも、きみと一緒にK市街が一望できる、あの小高い山の頂きに登って、二人で来し方を語り合う穏やかな日々が来るのを楽しみにしていた。中学のとき、訳もなく、あの山に登っては、そうしていたように、きみと心置きなく他愛のない話がしたかった……。
更新日:2017-04-08 13:13:31