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小説

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浅薄な負け惜しみ


 四 浅薄な負け惜しみ

 怠惰だった――かもしれない。卑怯だったかもしれない。しかし、私はそんな母に頭を下げ、哀願することができなかった。そうすれば、世間知らずの母が本心からではなく、ほかならぬ私自身の加護のためにきみやきみの母親に謝ることが必要になる。
 誰の世話にもなるまいと痩せ我慢を承知で身に纏わせてきた自尊心……。
 それだけが、ぽっと出の田舎者で世間知らずの彼女を支えてきたのだ。取るに足らぬ、いとも細やかなプライドだけに縋って、頑なな気振りを固持する母親であったが、このうえの恥辱を彼女に味わわせることはできなかった。

更新日:2017-04-08 13:05:55