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にの

仕事が終わって、家に帰ってくる。
明かりをつけて、ソファーに座ってテレビとゲーム機の電源を入れる。
いつもの、動作。
でも。
ソファーに寝転がる。
ぼんやりと思い出すのは、あいつの事。

「ニノ」

まだほろ酔いで、抵抗しようと思えば、できたんだ。

「やっ……まーくん」

「俺がここ触ると、ニノのココは気持ちいいみたい」

「違、う……んっ」

「違うの?」

「あっ」

「は、やっぱりすごいことになってる」

おかしい。
まーくんが、おかしくなった。
俺の下着を脱がして、見たことないオトコの顔してる。

「あなた、どうしちゃったの?」

呟いても答えてくれる人はいない。
自分も自分だ。
あまりの気持ち良さに、そのまま流された。
だから次の日、聞けなかった。
彼が触れたところを手でなぞっていく。
腹を撫でていた手は、太ももに移り足を広げる。

「まーくん」

そのまま彼が触れた場所で、手を動かした。
あの時ほどの快感がないまま。
虚しくなってやめる。
あんな事されたら、好きだって勘違いしてしまう。

「好きじゃなきゃ、無理だよな?」

自分に言い聞かせるように呟く。

「俺は」

あなたの事……。
でも頭をよぎるのは、あの人たち。
俺は、どうしたい?

更新日:2017-03-01 14:06:08

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