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まさき

「翔ちゃん」

「ん?」

「俺ね、ニノの暴れん坊を口に入れてみた」

数秒後、翔ちゃんが飲んでいたカフェラテを吹いた。
それはコントみたいに見事な吹きっぷりで。

「翔ちゃん、すごい!コントみたい」

つい拍手をしてしまった。
翔ちゃんは慌ててティッシュで辺りを拭き出した。
俺もお手伝いする。
その後で俺を見たその顔は、真剣そのもので。

「雅紀、ニノの、その、ゴニョゴニョをゴニョゴニョしたって?」

俺たち二人しかいない楽屋だけど、誰が来るかわからない。
俺がぼかした単語を翔ちゃんは理解していた。

「うん」

翔ちゃんの目が細められた。

「おまえら、付き合うことになったの?」

俺の視線はぐるぐる回る。

「まさか、おまえ」

「あっ、無理やりとかじゃないよ。酔った上の事っていうか」

翔ちゃんが、がっくりとうな垂れた。

「翔ちゃん?」

「馬鹿か!」

「しょ、翔ちゃん?」

翔ちゃんが俺を見据える。

「わかってるのか?酔ったニノにそんな事して」

「……わかってるよ」

翔ちゃんは俺の瞳をじっと見つめた。
鋭くなっていた瞳が、不意に優しくなる。

「ごめん……」

「なんで翔ちゃんが謝るの?」

「雅紀とニノの問題なのに」

コンコンとドアが叩かれた。

「相葉さん、時間です。お願いします」

「はーい」

撮影の時間だ。

「行ってくるね、翔ちゃん」

「ああ」

「今日、俺の家、来てくれる?」

「……行くよ」

更新日:2017-02-01 00:36:33

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