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第7話 ガマス、戦士の墓標へ


  「なーるほどなぁ…そりゃいいコトを聞いたわい…」

 かの集団、「クダラン」の頭領・タマヤは、その垂れた目をより
 一層歪ませた。

  「ナシアぁ…。お前、用心棒でも雇ったのか?」
  「ち…違う!!あれは…」

 ナシアは狼狽しながら口ごもり、スラとウォノサスの方を
 みやった。
 タマヤもまたスラたちの方をみてニヤリと笑みを浮かべた。

  「…みねぇ顔だな?ナシア、客人か?」
  「あ…?ああ、そうだ…」
  「随分と若いな。まぁいい、で…ナシア。あのガンダムは
  どうした?」

 ナシアは返答に困った。
 …だが、それがスラたちのものであることは…。

  「あのガンダムは…」

 彼がそういいかけた時であった。

  「あのガンダムは…僕のだ!!あれでお前たちを…その…
  懲らしめるために、ここにやってきたんだ!!」

  「…え?」

 スラは思わず唖然とした。
 …それは意外だったからである。
 ウォノサスが…普段からおとなしいはずの弟が…いつになく
 正義感というものに燃えている…!
 …だが、クダランの手下の誰もが彼のその言動に失笑を
 漏らした。

  「おい小僧!…随分と威勢がいいようだが…逃げるンなら
  いまのうちだぜ?」

 そこにいた手下の屈強な男が、ずいと前に出るなり、
 ウォノサスを見下ろすように睨み付けた。
 ウォノサスは怯みながらも、ふとスラに何か目配せした。
 その口元には…何やら意味ありげにかすかな笑みが浮かんで
 いる。

  「…分かった。じゃあ、このまま僕たちは逃げることにさせて
  もらうよ」
  「な…何だとぉ!?」

 驚くその男とタマヤら一行を尻目に、突然ウォノサスはスラの
 手を引っ張り、その場から逃げ出した。
 一行は、しばらく唖然としていたが…ハッと我に返るなり、
 彼らを追いかけ始めた。

  「ちょっと…!ウォノサス!!」

 訳が分からず、弟の後を追い走り出すスラ。

  「話はあとっ!」

 二人は倉庫の裏手で降着姿勢にしている
 カミキバーニングガンダムに乗り込もうとした。

  バンッ、パパンッ…!!

 突然銃声が聞こえてきた。

  「このガキども!待てぇっ!!」

 銃を手にしたタマヤの手下たちが追ってくる。
 二人はガンダムのコックピットにとりついた。
 そして…。

  ヴゥンンン…!

 ウォノサスをパイロットに機体が起動状態に入った。
 カミキバーニングガンダムがゆっくりと立ち上がるが、
 手下たちは構わずそれに向かって銃を放った。

  「者ども、モビルスーツとウォルチを出せ!!」

 タマヤが叫んだ。
 …その光景を、両親の背後からクシナが心配そうにみつめて
 いた…。

更新日:2017-01-28 09:14:13

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機動古代戦士 KB(カミキ・バーニング)ガンダム