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温泉へ入ろう!

「何よ、ここ」
「だから、ホテルだよ」
「まさかここへ泊まる気なの?」
「ああ」

新一が頷くと哀の腕を掴む。

「ほら、行くぞ。さみぃ―から早く中へ入ろうぜ」
「えっ、ちょっと待ってよ、工藤君」

次に新一に連れてこられたのは凍った滝つぼから貸別荘とは反対方向に山を下りていくと、
雪に覆われた森の中に突如現れた何とも怪し気な建物だった。

ホテルと呼ぶには規模は小さく個人の別荘を大きくしたような建物。
まるで人が寄りつかないように入口以外は高い塀で囲まれている。
部屋数も十室あればいい方だ。

中へ入れば、フロントには中年の男性が一人立っている。
他には人は見当たらない。
ロビーもソファとテーブルがワンセットあるだけでとてもこじんまりしている。

何より静かだ。
時計を見れば、すでに夜も十二時近い。
雪で閉ざされた山の中。
静かなのも当然かもしれないけれど、寂しすぎて少々不安になる。

「ここで待ってろ」

哀をソファに座らせると、新一がひとりでフロントへ向かう。

こういった時、新一は変装のつもりなのか、いつもメガネかサングラスをかけている。
今夜はメガネだ。

鍵を受け取ると、哀の腕を再び掴んで立ち上がらせる。
今度は彼女と手を繋いでくる。
でも、こんなこと普段は決してしない。

「ちょっと見られてるわよ」

哀がフロントを気にして小さな声で囁けば、新一が「大丈夫だよ」と笑みを浮かべた。

いったいこのホテルは何なのだろうか。
普通のホテルとはどこか雰囲気が違う。
哀が首をひねった。

更新日:2017-05-31 01:00:03

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秘密のふたり シリーズ2 【コナンで新一×哀】