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そうだ! ゲレンデに行こう! 【スキー旅行編】 始まり

工藤新一が風呂上がりのシャンプーの香りを漂わせる彼女の髪に指を差し入れながら、
ほんの数分前まで口喧嘩してプクッと尖らせていた可愛い唇にそっと口づける。

恋人の気持ちをなだめるように少女の唇を、大人の男の唇が優しく覆い隠す。

お気に入りのソファに座り、華奢で小柄な彼女を膝の上に座らせて交わすキスは、
どこか甘酸っぱくて恋に鈍感で純情だった少年時代を蘇らせる。

例えどんなにくだらない喧嘩をしても、工藤新一にとっては、
工藤邸での彼女と二人で過ごす時間だけが唯一心やすらぐひと時だ。


ただいま人気急上昇中の俳優・工藤新一には世間に秘密の恋人がいる。

新一がひた隠しにする恋人というのが────
十歳も年の離れたまだ中学一年生の灰原哀だった。

哀が小学六年生の時にすでにプロポーズまで済ませており、
彼女が十六歳の誕生日を迎えた暁には、新一は本気で哀と結婚するつもりでいる。

哀が「もう駄目よ」と言って顔中にキスの雨を大量に降らせる新一を制止する。

新一はまだ足りないと不服そうな顔をしたが、哀は新一を無視するように話を始めた。

「ねえ、工藤くん……」

「なんだよ」

新一のやや不満気な声色にも哀は気にかける様子がない。

いちいち新一が満足するまで相手をしていたらキリがない。

哀は新一より十歳も年下だったが、実年齢は哀の方が一つ年上のせいか、
新一は哀の前だとかなり大人げなかったり、大きな身体で子供のように甘えてみたりと、
ワガママな側面をのぞかせる。

哀に見せる素顔は頭が良くてクールでカッコいいと巷で評判の──
俳優・工藤新一のイメージとは遠くかけ離れていた。

新一のマネージャーを務める伊達友也(だてゆうや)でさえも、
「世間にはとてもお見せできませんね」と時には呆れ返るほどだ。

更新日:2017-08-21 22:03:18

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秘密のふたり シリーズ2 【コナンで新一×哀】