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sweet
「ちょ…ばかっ!やめろ…離せって…っん!」
「…やだ。離しちゃったら、リーダー絶対逃げちゃうでしょ…?」
そう耳元で呟いて、相葉雅紀は、その唇を俺の首元に押し付けた。
「この…ばか力!!…」
俺の両腕はソファーに押え込まれて動かせない。これが、他のメンバー、櫻井や松潤(ニノは論外)なら、何とかなるかもしれない。けど、唯一、この相葉だけには敵わない。針金みたいに細っこいくせに、このばか力はどこからくるんだ…!
もがく俺の首筋と耳朶に押し当てられた唇は、おずおずとほっぺたに移り、息が、俺の口元にかかった。酒臭い息に顔を顰め、合わされないようにそっぽを向く。
「いい加減にしろっ!」
俺の声にビクリッと小さく体を震わせた相葉が顔上げて…今日はマジで酒癖悪りぃな…。目に涙をいっぱい溜めて訴えてくる。
「リーダー、怒った?ねっ、怒っちゃったの?ごめん!謝るから!ホント、ごめん!だから、俺のこと嫌いになんないで!お願い!リーダーに嫌われたら俺…俺…」
とうとう俺の胸に顔をうずめて泣き出した。
はあぁぁぁ…。今日は最高に楽しい一日だった筈なのに…。
今日のライブのお客さんも最高にノリが良くて、俺らもスタッフもみんな最高の仕事ができた。そんな高揚した気分でホテルに帰って、気持ち良く部屋飲みしてる所へ、既に出来上がった感じの相葉ちゃんとニノが乱入してきたのは、確か十一時も回った頃か…。そう思って時計に目をやって、その針がてっぺんを過ぎていて、それはもう昨日のことになってしまったのに気付く。
ニノは、あいつは、相葉ちゃんを俺に押し付けるとさっさと出て行きゃがった。だから、仕方なく相手してたんだよ。そしたら、ハイテンションな相葉は覚束ない足元で踊り出して、危ないなぁと思ってたら、心配した通りフラついて、危うく倒れそうになったから、抱き留めてソファーに座らせたら、急に態度が変わって俺に覆い被さってきやがった。
赤い顔で、息を荒くして、真剣な眼差しで見下ろす相葉の顔を、俺は最初ぼんやりと見上げていた。まさかこんなこと、相葉が思ってたなんて、考えてもみなかったから。
「相葉ちゃん…どした?はしゃぎ過ぎて気分でも悪くなったか?ん?」
俺の問いかけにふるふると首を振り、こう言った。
「…リーダー…好き」
「は?」
俺の思考は拒絶反応を示して停止した。
「リーダーは?俺のこと…好き…だよね?」
「は?」
「…キスして…い…?」
ゆっくり、目を閉じた顔が近づいてきて、初めて事態を呑み込んだ。
「ばかっ!何やってんだ!!」
その時はまだ自由だった両腕を突っ張って、相葉の顔を押し返した。そしたらどうだ。手首を掴んでソファーに押し付けて動けなくした上で、く…口に、チューしやがった!挙句の果てに泣き上戸なんて…。勘弁してくれ…。
「あー!もう!!嫌わねぇ!こんなことぐらいで嫌わないから、早くどけ!!」
「…ホントに?」
「ん!」
「わかった…リーダー、ごめんね。ホントにごめん」
俺から離れてもいつまでも謝り続ける相葉を見てて、俺の中に好からぬ想いがムクムクと湧き上がってきた。
「本当に悪いと思ってんのか?反省しろよ。反省」
「うん。ごめん。悪かった。反省してます」
「じゃ、証拠見せろ」
「証拠?何の?」
「反省してる証拠だよ」
「え…」
たぶん、俺はかなり悪い顔して笑ってる。相葉は絶句したまま固まってしまった。
「いいか。今から、俺の言うことは絶対だ。わかったな」
「え?何で?」
「何でって、お前反省してんだろ?!俺に悪いことしたと思ってんだろ?!だったら、文句言わずに言うこと聞いてりゃいいんだよ」
相葉の目が見開いて、怯えた様な顔をした。
「わかったか!わかったら返事は?!」
顔を寄せて凄んでやった。
相葉はこくこくと小さく頷いて、「はい」と、蚊の鳴く様な声で答えた。
さぁ、どうしてやろうか。酒の上とはいえ、この俺に不埒なことしたんだからな。
ソファーの端で、長い手足を小さく縮めた相葉の大きな涙目が、腕組みする俺を見返してた。
こんな子犬みたいにかわいい顔して、何を考えてたんだか…。
白状させてやろう。
「…やだ。離しちゃったら、リーダー絶対逃げちゃうでしょ…?」
そう耳元で呟いて、相葉雅紀は、その唇を俺の首元に押し付けた。
「この…ばか力!!…」
俺の両腕はソファーに押え込まれて動かせない。これが、他のメンバー、櫻井や松潤(ニノは論外)なら、何とかなるかもしれない。けど、唯一、この相葉だけには敵わない。針金みたいに細っこいくせに、このばか力はどこからくるんだ…!
もがく俺の首筋と耳朶に押し当てられた唇は、おずおずとほっぺたに移り、息が、俺の口元にかかった。酒臭い息に顔を顰め、合わされないようにそっぽを向く。
「いい加減にしろっ!」
俺の声にビクリッと小さく体を震わせた相葉が顔上げて…今日はマジで酒癖悪りぃな…。目に涙をいっぱい溜めて訴えてくる。
「リーダー、怒った?ねっ、怒っちゃったの?ごめん!謝るから!ホント、ごめん!だから、俺のこと嫌いになんないで!お願い!リーダーに嫌われたら俺…俺…」
とうとう俺の胸に顔をうずめて泣き出した。
はあぁぁぁ…。今日は最高に楽しい一日だった筈なのに…。
今日のライブのお客さんも最高にノリが良くて、俺らもスタッフもみんな最高の仕事ができた。そんな高揚した気分でホテルに帰って、気持ち良く部屋飲みしてる所へ、既に出来上がった感じの相葉ちゃんとニノが乱入してきたのは、確か十一時も回った頃か…。そう思って時計に目をやって、その針がてっぺんを過ぎていて、それはもう昨日のことになってしまったのに気付く。
ニノは、あいつは、相葉ちゃんを俺に押し付けるとさっさと出て行きゃがった。だから、仕方なく相手してたんだよ。そしたら、ハイテンションな相葉は覚束ない足元で踊り出して、危ないなぁと思ってたら、心配した通りフラついて、危うく倒れそうになったから、抱き留めてソファーに座らせたら、急に態度が変わって俺に覆い被さってきやがった。
赤い顔で、息を荒くして、真剣な眼差しで見下ろす相葉の顔を、俺は最初ぼんやりと見上げていた。まさかこんなこと、相葉が思ってたなんて、考えてもみなかったから。
「相葉ちゃん…どした?はしゃぎ過ぎて気分でも悪くなったか?ん?」
俺の問いかけにふるふると首を振り、こう言った。
「…リーダー…好き」
「は?」
俺の思考は拒絶反応を示して停止した。
「リーダーは?俺のこと…好き…だよね?」
「は?」
「…キスして…い…?」
ゆっくり、目を閉じた顔が近づいてきて、初めて事態を呑み込んだ。
「ばかっ!何やってんだ!!」
その時はまだ自由だった両腕を突っ張って、相葉の顔を押し返した。そしたらどうだ。手首を掴んでソファーに押し付けて動けなくした上で、く…口に、チューしやがった!挙句の果てに泣き上戸なんて…。勘弁してくれ…。
「あー!もう!!嫌わねぇ!こんなことぐらいで嫌わないから、早くどけ!!」
「…ホントに?」
「ん!」
「わかった…リーダー、ごめんね。ホントにごめん」
俺から離れてもいつまでも謝り続ける相葉を見てて、俺の中に好からぬ想いがムクムクと湧き上がってきた。
「本当に悪いと思ってんのか?反省しろよ。反省」
「うん。ごめん。悪かった。反省してます」
「じゃ、証拠見せろ」
「証拠?何の?」
「反省してる証拠だよ」
「え…」
たぶん、俺はかなり悪い顔して笑ってる。相葉は絶句したまま固まってしまった。
「いいか。今から、俺の言うことは絶対だ。わかったな」
「え?何で?」
「何でって、お前反省してんだろ?!俺に悪いことしたと思ってんだろ?!だったら、文句言わずに言うこと聞いてりゃいいんだよ」
相葉の目が見開いて、怯えた様な顔をした。
「わかったか!わかったら返事は?!」
顔を寄せて凄んでやった。
相葉はこくこくと小さく頷いて、「はい」と、蚊の鳴く様な声で答えた。
さぁ、どうしてやろうか。酒の上とはいえ、この俺に不埒なことしたんだからな。
ソファーの端で、長い手足を小さく縮めた相葉の大きな涙目が、腕組みする俺を見返してた。
こんな子犬みたいにかわいい顔して、何を考えてたんだか…。
白状させてやろう。
更新日:2016-10-21 17:28:08