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二人の時間

珍しくアレクセイが家にいる。

この数週間、働きづめに働いて休みもまともに取っていなかった。そんなことをしていれば、いかに体力のある彼でも倒れてしまう。

案の定、事務所で倒れ、ユリウスが呼ばれた。
駆け付けたユリウスが見たものは、ソファに横たわる夫の姿。
今までに見たこともないくらい蒼白な顔。
相当疲労がたまっていたようで、貧血を起こした。

5日間の休養を命令され、自宅に帰された。

アパートに帰り、ベッドに横たえようとするとユリウスを引き寄せた。

「わ!なに?」
「久しぶりだろ?」

呆れた。青白い顔をして何が久しぶりだ。

「何言ってんの!」

アレクセイの胸を押すと、あっけなくベッドに倒れこんだ。

「もう!安静にしないといけないでしょ」

ぐったりと横たわっている。

「そうだな・・・」
「アレクセイ、今はゆっくり休んでよ。忙しいのはわかるけど、無理をして病気になったら元も子もないよ」

上掛けを彼に掛けながら、優しく語り掛ける。ベッドの端に腰を掛け、アレクセイの前髪をそっとなぞった。

更新日:2017-05-12 08:55:06

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