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氷霧

挿絵 258*193

路地を吹きすさび雪が舞う。
初雪が降ったと思うとあっという間に積雪になる。溶け切らない雪が凍り、さらにその上に雪が積もる。路上の石畳がわからなくなるくらいに雪が積もり、凍る。
ロシアの冬だ。
アレクセイと暮らして初めての冬。

あの屋敷にいた時には感じなかった凍てつくような寒さ。
アパートの部屋にいても着こまないと寒くていられない。暖炉に火を起こすが追いつかない。どちらかというとオーブンのある台所の方が温かくて料理をしながら暖を取る方が効率がいいことに気が付いた。

ガリーナに教わった料理を作りながら夫の帰りを待つ日々が続いた。

今夜は吹雪そうだ。
嫌な夜。アレクセイは帰ってきそうにない。

窓ガラスを叩くように風が舞う。

記憶を無くして、冬の吹雪の夜は決まって怯えた。どうにも感情のコントロールが効かず、追い詰められる感情が収まらなかった。レオニードの執務室に飛び込んだことも何度もある。

アレクセイと再会し、同じような夜には預けられていたズボフスキーの妻ガリーナに迷惑をかけたと思う。
錯乱し落ち着かなかった。
それでも彼女は、ガリーナは根気強く付き合ってくれていた。
部屋の隅で耳を両手で覆い震える身体を抱きしめてくれる。背中をさすり、大丈夫よと何度も何度も声をかけてくれた。小さなガリーナに寄りかかりながら、温かい腕に心も温まるようだった。

更新日:2017-03-07 19:14:42

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