官能小説

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よんじゅうきゅう

「クライド…」

突然現れたクライドに、ベッドにいたレイスとフレイアは驚きの表情を隠せない。

「どういう事だレイス?フレイア、何故ここにお前が居る?
しかも二人して何をやってる…!」

怒りの表情を露に、クライドはずかずかと二人の傍まで近寄り、いきなりフレイアの腕を掴むと強引にベッドから引き摺り降ろし、レイスから引き離した。

「フレイアっ!」

「痛いっ!何をするのよ離してっ!」

フレイアが暴れ抵抗するのを無視して、クライドは彼女の身体を更に引き摺り扉のほうに向かっていった。

「何をするんですかクライドさんっ!」

慌ててレイスがベッドから飛び降り、クライドの手からフレイアを奪い返した。

「何をするんですか、だと!貴様こそ何をしてる!他の男の…高貴な身分の立場になった女に手を出すとは!」

それからクライドはフレイアのほうに鋭い視線を向けた。

「フレイア、お前もお前だ!官僚一族に嫁いだお前が何故ここに居る?お前自分が何をしているのか解っているのか!お前は旦那を裏切っているのだぞ!」

「クライドさん、これには訳があって…」

「お前は黙っていろレイス!どういうつもりだフレイア!」

事情を知らないクライドの厳しい責め立てに、フレイアは裸で床に伏せたままぎゅっと拳を握り締め、唇を噛んだ。

「…知らない、くせに…」

「あん?」

「何も、何も私の事を知らないくせに勝手に人の事を責めないでよ!あんたに何が解るのよ!」

ぎっと涙に濡れた顔をあげ、恨みに満ちた顔でフレイアはクライドを睨み付ける。

「落ち着けフレイア!クライドさん、フレイアはその旦那から見棄てられたんですよ!」

「見棄てられた、どういう意味だ?」

「マリウスは…彼は自分の復讐を果たす為に私を言葉巧みに騙して偽装結婚をしたのよ」

「は?復讐、偽装結婚。何だそれは?」

フレイアとレイスの言葉にクライドは表情を怒りに歪めたまま訳が解らず首を傾げる。

「フレイアは、そのマリウスという男に騙されていたんだ。そいつは自分の欲の為だけにフレイアの心を利用していただけなのさ。そいつはフレイアのことなんて愛していなかったのさ」

「なんだと!?」

「そして不要になった私は彼から棄てられた…いいえ、今離縁されたら困るからって、復讐が終わるまでは従順に夫婦のふりをしろと言われたわ。」

フレイアはぽたぽたと涙を溢しながらクライドを睨み返す。

「でも、でも私は嫌!愛のない結婚なんて続けるなんて嫌よ!そんなのを続ける位なら私は私を愛してくれるレイスの傍にいたいの!」

「フレイア…」

…お前はそれほどまでにその、マリウスとかいう男を信じて愛していたのか。
だからこそ裏切りに耐えられずに娼婦街(ここ)に来てレイスに全てを話し委ねたのか!

クライドは何となくフレイアの置かれた状態と想いを理解し、ちらりとレイスを見た。

…フレイアを想っていたレイスが見棄てられて絶望に落ち込んでいるあいつを慰めるのは解る、解るのだが…、

「だからって、お前が来るべき場所はここでは無い。ここにはお前が求めるものは何一つ無いんだ!」

そう言ってクライドは再びレイスの手からフレイアを奪い返し扉に向かった。

更新日:2017-05-23 10:52:04

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