官能小説

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よんじゅうご

「あ、あんっ!」

「んっ、フローラ、ちゃんっ!」

夜も更けた頃、ベッドの上でフローラとマリウスは久しぶりのセックスを堪能していた。

「あ、ああ、いく、うっ…!」

「は、ん…っ!」

二人してほぼ同時に絶頂を迎えると、フローラの上で腰を振っていたマリウスがはあ、満足したような疲れたような様子で彼女の身体の上に倒れこんだ。

「ちょ、重いわどいてよ」

「あー、疲れた。けど気持ちい〜」

フローラの不満声をマリウスは無視して彼女の胸元をすりすりと頬擦りしている。

「もう、マリウスったら」

まるで猫のように甘えてくるその様子に、呆れつつも思わず彼女はくすりと笑みが洩れる。

…さて、そろそろかな。

「ああ、喉が渇いた。お水は、と…」

「お水なら僕がついでくるよー!」

待ってましたとばかりにがばっと身体を起こすと、マリウスは一直線に水差しのある場所に向かっていった。

「ありがとう」

いつもの事に何の疑問もなくそう礼を言うと、フローラはベッドの上で再び軽く微睡みだした。

フローラが自分から視線を逸らしたのを確認すると、マリウスは薬の包みを取り出し、中身をグラスに入れた。

…やれやれ、確実に薬を飲ませる為とはいえ、毎回媚薬を飲んでのセックスは疲れるよ。
まあ、次回からはこんな事も無くなるがな。

ふうと少しばかり疲れ気味の溜め息を洩らすと、マリウスはニプトンとの会話を思い出し、グラスに水を注いでいった。


『…マリウス様、この睡眠薬は効果が高い分即効性が高く、短時間しか効き目がありません』

『短時間だと、どの位の時間だ?』

『およそ四時間前後、もって五時間です。なので夕食に混ぜて食させると、深夜には薬の効果が切れる危険性が高いかと…』

『五時間だと、一晩と持たないのか!それこそ就寝直前に飲ませなければいけないじゃないか!
そうだ、薬の量を倍にして飲ませたら駄目なのか?』

『それは危険です。この薬自体強力なので下手すれば生命に拘わります。なので必要になる直前に飲ませるしか無いのです。
幸い今開発中の薬が遅効性で持続的なものでして、次回までにはお渡しできるかと…それまではこちらの薬を使って戴けると助かります』

『解った。新しい薬が完成したら直ぐに連絡をいれるんだ、良いな!』

『御意』


…今までは薬を効果的に使う為に必要の無いセックスをしなくてはならなかったが、やっと明日になれば新しい薬が届く。そしたらこんな事もする必要が無くなる。
でなければ、誰がこんなあばずれ女など相手にするものか!

「はいフローラちゃん、お水だよ」

心の中では舌を出しながら、なに食わぬ顔をしてマリウスは睡眠薬入りの水をフローラに手渡した。

「…ありがとう」

本当に眠りかけていて、フローラは起き上がる事も鬱陶しいらしく、横になって不安定な姿勢のままグラスを受け取ると、力なくこくこくと半分程水を飲んだ。

「ああ…美味しい…」

「ちょっとフローラちゃん、ちゃんと起きて飲まないとお水溢しちゃうよー」

…おいおい、ちゃんと起きて全部水を飲んでおくれよ。そしてさっさと眠ってくれ。

冷たい視線を向けながら心の中でそう呟いていたその時、目の前のフローラが手にしていた水の半分残ったグラスを手から離してしまった。

「あ…っ!」

更新日:2017-02-17 10:07:00

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