官能小説

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よんじゅうさん

「ねーフローラちゃん、今日お仕事でこんな事があったんだよー」

その日の夜、仕事から戻ってマリウスと二人で夕食をしていたフローラは何故か上の空だった。

『彼の本性をまるっきり解っていない』

…彼の、マリウスの本性って何よ…?

今彼女の頭の中には、昼間聞いたミリアの言葉がぐるぐると渦巻いていた。

『口先だけの人間なんてこの世に沢山居るわ』

…何よそれ!まるでマリウスが私に嘘をついている様な言い方…!まさか、マリウスが本当に嘘をついているというの?!私に言ってくれた言葉が全て嘘だというの!?

「…ちゃん、ねぇーフローラちゃん、聞いているのー!」

突然目の前にマリウスの顔がぬっと現れて、やっとそこでフローラは我に帰った。

「な、な、何よいきなりっ!びっくりするじゃない!」

「あー良かったー!フローラちゃんもとに戻って。
どうしたのさフローラちゃん?仕事から戻ってきてからずーっとぼーっとしているじゃないー、僕の話聞いてるー!」

マリウスが相変わらず呑気な調子で、だけど少し不満げに口を尖らせて話し掛けてくる。

「な、何でもないわ。ちょっと今日は仕事が忙しくて疲れただけよ。えーと、何話をしていたっけ…」

…何考えているの私ったら!彼女の言う言葉を思い出すなんて!
彼女のあんな言葉なんか、戯れ言に決まってるじゃない!

「もう!僕の話を全然聞いてないんだね。
んーフローラちゃんがそこまで疲れているんならさ、さっさと寝ようか!」

「…は?!」

呆然とするフローラにマリウスはにこやかな笑顔で続ける。

「うん!そうしよう!今日は湯あみしないで二人でセックスしてさっさと寝ようかっ!」

「ちょ…!?湯あみ無しは嫌よっ!」

「大丈夫大丈夫。今は氷(=冬)の時期で汗かいてないし、僕はそんな事気にしないからー」

「私は気にするのっ!」

…いや、身体の臭いとか汗とか、そういうのが好みの人も居るのは知ってるけど、やっぱセックスの前は綺麗にしたいものだわ!

フローラが怒り気味に叫ぶと、流石にマリウスもきょとんとして、

「そっか、そこまで言うなら一緒に湯あみしようかー。うん、それなら時間もかからないし、そこでちょっといちゃいちゃするのも悪くないしねー」

「ちょっと…!」

傍らにはマーサをはじめ数人のメイドが控える中、あっけらかんとセックスの話をするマリウス。
始めのうちはそんな会話に周りにいるメイド達も恥ずかしがっていたものだが、慣れとは恐ろしく何度も続くと今では皆平然とした態度で対応出来るのであった。

…んー、でも今日はちょっと疲れ気味だし、気分的にセックスしないで直ぐにでも眠りたいんだけど…。

その一言が言えないまま、フローラは半ば強引にマリウスに引きずられながら風呂場へと向かったのであった。


      *


「あー疲れたー…」

湯あみを終えてナイトウェア姿で部屋に戻ったフローラは着くなりベッドへと倒れこんだ。

まあ、風呂場でばっちし激しく睦みあって一回やらかしたせいでもあるが。

「フローラちゃーん、今度はベッドの上でもう一回やろうよー!」

ほぼ満身創痍状態のフローラに向かって、まだまだ元気なマリウスは嬉々として誘うのであった。

「んー、今日はもう無理…。眠らせて…」

更新日:2016-11-25 12:58:26

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