官能小説

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初等部からずっと成績は一位を死守し、体操・乗馬・マナー教育も常に上位に居て更には生徒会の会長までを務め、学園の改革の主導的立場に立ち、生徒達からは勿論先生達もが彼に尊敬と敬意を示したのであった。

「流石だなマリウス」

「いえ、これ位当然の事です」

ロックフェル家への復讐も、父上と未だ中等部であったマリウスが中心になって行い、わたしはあくまでも次の存在であった。

…わたしはブランディア家の嫡男!正当な世継ぎですよ!
それなのに父上は何故マリウスばかりに頼るのです!何故!?

「大丈夫ですよタルシー、今はあの人は…ロックフェル家の復讐に囚われていてお前の事に手が回らないだけですよ。
ちゃんとあの人はお前の事を見てますよ。貴方の事を解っていますよ」

そんなわたしを心配して母上はそう慰めてくれるが、わたしの父上に対する疑心は、そしてマリウスに対する嫉妬心は益々膨れていくばかりだった。

…マリウス、奴さえ居なければ!

そんな気持ちのまま高等部を卒業したわたしは、直ぐ様父上と同じ官僚の道を歩み始め、程無くして大臣を務める父上の直属の秘書を務める事になった。

「タルシー、官僚世界(ここ)にはあのレオニールが居る。奴は宰相補佐でありながら宰相ユリシーン様を陰で操っていて、実質奴が実権を握っているのも同然。くれぐれも奴と、そして宰相様にも気を付けるのだぞ」

「はい、父上」

父上と同じ官僚世界に入って、やっと父上もわたしに目を向け期待してくれるものかと思っていたのだが、

「マリウスが高等部を卒業したら、あれも官僚世界(ここ)に入らせる。そしたら我らの、ロックフェル家の復讐計画も進むであろう」

「!?」

父上の一言にわたしは衝撃を受け言葉を無くしたのだった。

…父上!それでもわたしよりもマリウスに期待されるのか!?

絶望の中、それでも父上の為、ブランディア家の為に働くわたしであったが、時折ふと考えるのであった。

…もしここでわたしが居なくなれば父上はどうするのであろう?
もしマリウスが殺されて居なくなれば、父上は少しはわたしに目を向けてくれるのだろうか?

もし、もしわたしが貴方達を裏切って、ロックフェル家に寝返ったならば!

「貴方、他人の事ばかりに囚われて己を見失い、自分の与えられた役割を立派に果たしていらっしゃるのかしら?」

わたしが負の考えばかりに陥っていたある日の事、上位官僚の集まる退屈で意味のないパーティーに出席した時に、わたしにいきなり話しかけてきた人物がいた。

「貴女は?」

しかもそれが年若い女性だと解り、わたしは表情を更に嫌悪感に歪めた。

「私はエリス=ハルミット。サガン=ハルミットの長女ですわ」

「ハルミット家の…」

「貴方タルシー=ブランディア様でしょ、ブランディア家の嫡男の。私の婚約者がどんな御方か知りたくてこんなくだらない場所までわざわざ見に来たのだけど…予想以上にくだらない男でがっかりだわ」

「何だと!?」

ハルミット家。

かつては我が一族も数多もの官僚一族と付き合いをしてきたが、例のクーベル家との一件以来、大半の一族がすっかり遠退いてしまった。
だがそんな中でもハルミット家は事件以降も親交を続けてきた数少ない一族のひとつである。

更新日:2017-06-22 13:40:32

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