官能小説

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R-18

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「ワンダと申します。貴女は娘の知り合いか何か…ごほごほっ…!」

だがそこまで喋っていきなり激しく咳き込み、前屈みになったままその場にしゃがんでしまった。

「!?」

「大丈夫お父様っ!」

フローラが慌てて父親の背中を擦って介抱していく。

「ごほ…大丈夫、だよ…。外が寒く風も強くなってきたからな。身体が冷えてしまったよ」

店内のソファーに腰掛けながらも徐々に落ち着いた様子で答える父親に彼女もほっとしたようだった。

「ごめんなさい気付かなくて。直ぐに何か温かい飲み物を持ってくるわ」

そう言って店の奥に行こうとしたのを父親が制した。

「儂のことは大丈夫だよ。それより御客様を…」

そこでフローラはやっとミリアの存在を思い出し、顔を上げた。

「?!」

そこで見た彼女の姿…それは先程までの傲慢で自信に満ちたものでは無く、何処となく優しげで、何故かしら哀しみをも滲ませる表情をして二人の様子を見つめていたのだった。

「ミリア、さん…」

…な、何よ彼女のこの変わり様!?一体何が…?

今までの彼女とは余りの違い様に、フローラは驚きを隠せず思わずそう呟いた。
名前を呼ばれてミリアははっと我にかえった風になり、きっと表情を先程のような凛としたものに変えた。

「お…お邪魔しました。私、これで失礼致しますわ」

小声でそう呟き、くるりと身を翻したかと思うとそのまま急ぎ足で黙って店から出ていってしまった。

「……」

馬車に乗り込み颯爽と店を後にするのを、二人は黙ったまま見送っていた。

「…一体何だったのかいフローラ?」

「私にも…解らないわ」

…一体何なの?いきなりこの店に来て店の非難話などをしたかと思うと、お父様に会うなり態度を豹変させて直ぐに帰ったりして…。

『…貴女、彼が貴女を好いていると仰有っていたけど、それを鵜呑みに信じているの?』

ふとフローラは先程までミリアが話していた言葉を思い出した。

…一体どういう事?彼女の言い方だと、まるでマリウスが私に嘘をついていると言わんばかりだし…。

『だから貴女は愚かだって言ったのよ。彼の本性をまるっきり解っていない』

…本性って、一体何?今のマリウスが本性では無いと言うの?だとしたら彼は…、

そこまで考えてはっとなった。

…な、何を彼女の言うことを鵜呑みにしてるの私ったら!今の姿が彼の本性に決まっているじゃない!
彼女、きっと私とマリウスの事を妬んでやっかんでいるだけだわ!そうよ、彼女の言うことなんか出鱈目に決まっているわ!
そうよ、出鱈目に決まっているわよ…。

「どうしたんだいフローラ?」

黙ったまま考え込んでいる彼女に心配そうな表情で父親が声をかけてきた。

「あ…、だ、大丈夫よお父様。ブランデーティーでも作ってくるわ」

…そうよ、彼女の言うことなんて気にする事では無いわよ!

台所でお茶を入れるフローラはそう考え直し、今までの考えを吹っ切れさせようとした。

更新日:2016-11-05 11:50:33

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