• 6 / 12 ページ

episode3 空に落ちる日

「なんだよ…、これ…………。」

絶望のそれが、眼前に広がっていた。

仲間たちの屍。

運命は言う。

『君のおかげだよ、ユータ。』と、称賛の声を。

運命の前で伏す智焔は弱った声色でユータに言葉を送る。

「う………、すまない………………………。」

道長勇太にとっての絶望。





episode3 空に落ちる日





少し時を遡る。

一瞬の出来事だった。

運命から発せられた光とともに、皆飲まれた。

何かに腹部を貫かれ大量の血液を失い死んだ神崎。

左半分を抹消され死んだ日笠。

胸元から下の肉体を吹き飛ばされ死んだ夏川。

目元から上部、頭を斬り裂かれ死んだナシ。

右腕は消され、心臓に何かを刺しこまれ死んだ落田。

脳を内側でグチャグチャにかき混ぜられ、そのまま死んだ飛田。

先ほど、身体中に穴を開けられ、心臓を消し飛ばされて死んだ剛。

それらができるまでほんの一瞬のことだった。

智焔は避けることには成功したが、代わりに仲間を失った。

それと同時にこの場にミオ、リン、トモが意識を覚まさぬユータを置いて到着した。

「なんだよ…、これ…………。」

とトモがその惨状を言葉に表しきれていないようにも感じる。

仲間の死を嘆く時間すらない。

ただ涙を流してリンは怒りを言葉にする。

「アイツ、許せない………!」

運命はその四人を見て笑う。

『戦意が消えていくね。』

圧倒的な実力差。

智焔はそれを感じつつも、怒りを沸かせ続けなければならなかった。

さもないと、精神が折れて、まともに戦えなくなるからだ。

そのまま運命は言葉を続ける。

『運命通り。目論見通り。描いていた未来だよ。
君らを殺して、オーラを回収し、力を溜める。
全人類を、この星を壊して、消滅させては、私も死ぬ。心中さ。』

それが運命の目的だった。

全てに飽きていたのだろう。

『運命の操作者』としての現状に。

トモはすでに折れている。

(もっと、力があれば…。)

「クソが………。」

『次は君たちだ。』

嘆く時間すら、休む時間すら運命は与えてはくれない。

即座に運命は移動する。

標的はトモだ。

「なッ!?」

トモは大きく目を見開き、そのまま運命に頭を掴まれ移動に巻き込まれてしまう。

そのまま速さのまま、運命に投げ出される。

「ああッ…、なんつー力だよ!!!
があああああッ!!!!!!!!!!!!!!」

トモは投げ飛ばされながらも吠える。

(負けられないんだ。)

その瞬間、トモの左から鈍く、何かが折れたような音がした。

「は?」

運命は投げ飛ばされたトモの速度に追いつき、トモを目の前から見ている。

『そこは負けようよ?』

トモの悲鳴とともに運命は不気味に嗤う。


更新日:2016-09-05 23:31:16

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook