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episode1 変わり目

白に支配された世界。

ここは運命により作られた時空の狭間である。

その中で、数々の戦闘が行われており、傷つく者がたくさんいる。

現在、運命の目論見を止めるため、12人の力を扱える者が突入していたが、その数は半数にも満たなくなっていた。

銀髪の青年、通称トモと呼ばれる人間が戦火の中で声を上げている。

「くそ…ッ……、くそがッ!畜生……。」

拳を地へと思い切り叩きつける。

(どうして…、こうなったー……。)

このような展開は1度や2度だけではない。

今回こそ乗り越えるつもりだった。

しかし、トモはこの時限界というものは心の底から感じていた。

(この世界すらも救えずに奪われるのか?
俺たちは、また失っていくのか…。)





LAST-ラスト- BADEND

episode1 変わり目





時は遡る。

LAST-ラスト- 最終章「LOST」 episode10 略奪される反逆より

現在、ユータを名乗る未確認の敵と、炎を操る能力者、神崎焔が戦っている。

今しがた、敵を技で神崎が倒したと錯覚し、不意をつかれば場面だ。

神崎の背後にユータが現れる。

あの攻撃を逃れていた衝撃を神崎は隠せなかった。

「なッー!?」

眼と、首を後ろに向けた時にはユータの攻撃が神崎の心の臓に向かって襲いかかっていた。

「終ワり!!!」

世界がスローに見える。

自分だけを置いて、世界は動いている。

まるで自分だけが止まったような感覚。錯覚。

神崎はそのような体験をまさに今、感じていた。

(皆さん、すいません。
約束を守れません。)

神崎はその時、死を覚悟していた。

目を瞑って、痛みに耐えるのは一瞬のこと。

この一撃で自分は死ぬものだと考えていた。

しかし、真っ暗な闇の中で死をいくら待っていても一向に攻撃が訪れなかったのである。

目を開け、もう一人のユータの方を見た。

それで事実が確認された。

動きが止められていた。

正確の表現するのであれば、時間が止められていたのだ。

「止まっている…のですか……?」

予想もしていなかった。

ならば、これは好機。

神崎はこの決定的瞬間を見逃しはしない。

「なら、殺しますね。」

己の身体に火炎を纏い、巡らせる。

ありったけの殺意を込めて。

(一撃で決める…。)

その火炎で、神崎はユータの身体を縦に真っ二つにして切り裂き、殺した。

その傷跡も焼き焦げてはいくが、死ねば元も子もない話だ。

「これで、やりましたね。」

神崎がその屍体を見た時に、横から声がした。よく見知った声だ。

「危なかったッスね、囚長。止めといて良かったです。」

そう、時間を操る能力を持つ、夏川英樹の姿がそこにはあったのだ。

夏川の言葉に神崎はただ、礼を告げる。

「ギリギリでした。ありがとうございました。」

しかし、敵のユータの姿が、現在、運命によって捕らわれている自軍の道長勇太の姿と似ていたため、夏川が不安を募らせていた。

「大丈夫ですかね。」

神崎は彼の不安を取り除くために彼に優しい言葉を口にする。

「大丈夫です、きっと。
この一手は良い方向に繋がるハズです。」

更新日:2016-08-31 01:13:22

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