• 8 / 10 ページ

二毛のカラス

挿絵 640*480




彼女に関する良い評判を耳にする。
クラスの仲間が彼女のことをほめている。

「カラスの頭を撫でることができるんだよね」
などと言っている。

(へー、それは凄いな)とは思うものの 
それがどうして彼女をほめる理由になるのだろう。

教室のすりガラスの窓越しにカラスらしき鳥の影が見える。
誰かがそっと窓を開ける。

カラスらしきものは、しかし、縮れた白黒の二毛で
むしろ変な形の子犬を連想させる。

すぐにどこかへ飛び去ってしまったが 
窓を閉めると同時に戻ってきてすりガラス越しに姿を見せる。

それで、自分も窓を開けてそっと二毛のカラスに触れてみる。
カラスは逃げずに頭を撫でさせてくれる。

それでちょっとだけ得意になった。
しかし、ゴワゴワした手触り。

空を飛べるみたいだが、どうも 
カラスとは違う生き物のような気がする。

更新日:2016-08-27 12:55:12

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook