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笑う猫の生首

挿絵 640*427




我らはちょっとした小山のてっぺんにいて 
各々もの思いにふけりながら、あらぬ方向を眺めている。

芸能人のようでもあり、物語の登場人物のようでもある。

そこに蝶のような変な鳥のようなのが現れ 
我らの周囲をゆっくりとシャボン玉のように飛びまわる。

それに注意しているのは私くらいで 
皆はあらぬ方を向いたままだ。

その鳥には顔があり、小さな生首のようでさえある。
しかも、その顔は笑っている。

人間の男に似ているが、笑う猫を連想させる。

その鳥が、笑顔のままゆっくりとまわりながらも 
私を意識しているようである。

手を差し出してみると、私の手に止まった。
なんとも嬉しそうな顔。

こちらも嬉しくなり、仲間たちにも知らせる。
「おいおい、見てみろ。かわいいぞ」

ほとんど笑う猫の生首のようになったそれは 
相変わらずあらぬ方を眺めるひとりの男の胸に近寄り 
服の襟を口で引っかいてずり下げ、そいつの乳首をなめ始める。

そいつはくすぐったいのか、ヘラヘラ笑う。
それを見ている私もおかしくなって笑いそうになる。

更新日:2016-08-27 12:58:11

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